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2022年

【師走の二十四節気】

大雪 12月7日 (2022年)

そろそろ雪が降り出す頃。本格的に冬が始まる。大きな庭園や公園では雪吊りも見られる。写真は目白庭園の花八手。

冬至 12月22日(2022年)

1年で最も夜が長い日。冬至を境に運も上昇するといわれるほど大切な日。写真は、井の頭公園のヒイラギナンテン。

【12月のCAFÉ】
 

ニコライ バーグマンのカフェ「Nomu」

南青山で、デンマークのフラワーアーィテスト、ニコライ バーグマンの店を発見。店内ではフラワーボックスをはじめ、北欧と和を融合したブーケやアレンジメントを展開。クリスマスプレゼントにも。カフェでは、グリーンや花をディスプレイしたガラステーブルで、デンマークのオープンサンド「スモーブロー」などを楽しめる。TEL:03-5464-0716


【12月のCINÉMA】


「千夜一夜」

年間行方不明者数、約8万人。今もどこかで誰かを待つ人がいる。ドキュメンタリー出身監督、久保田直が、失踪者リストから着想を得て8年がかりで完成させた渾身の作品。突然姿を消した夫を30年待つ田中裕子、2年前に失踪した夫を探す尾野真知子が、北の港町を舞台に熱演。最近日本映画も見逃せなくなった。10月7日公開。


[12月のBOOKS]


『老害の人』 内館牧子著 講談社

『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く「高齢者小説」第4弾。双六やカルタの製作販売会社の前社長・福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも、社内に「経営戦略室」を設けて通勤、果ては「若鮎サロン」として老害仲間の集いの場にする。老人達の悲哀が他人事でなく、前三作のように笑えなかった。2022年10月14日刊 1600円


『ペガサスの記憶』 桐島洋子、カレン、ノエル ローランド著 小学館

「2014年、母はアルツハイマー型認知症と診断されました」、ノエルのあとがきは、この一文で始まる。フリージャーナリストとして活躍するかたわら、未婚のまま、三姉弟を育て上げた桐島洋子による波瀾万丈な自伝に加え、三人の子供達が、母への思いを存分に綴った、最初で最後の「桐島家」本格自叙伝。興味深かった。2022年6月20日刊 1800円


【霜月の二十四節気】

立冬 11月7日 (2022年)

冬の気配も身近に感じられる頃。早くも木々の葉が落ち、冷たい風が吹き、冬枯れの様子も見られる。写真は、旧安田楠雄邸庭園の千両。

小雪 11月22日 (2022年)

寒さが進み、そろそろ雪が降り始める頃。あくまで暦のうえだが、冷え込む日も増えてくる。写真は、小石川後楽園の紅葉。

【11月の
  RESTAURANT】
 

白金台・八芳園のレストラン「スラッシュカフェ」

白金台駅から徒歩3分。八芳園内にあるカジュアルなイタリアンレストラン。庭園に面したテラス席では、食事しながら四季折々のお庭の表情を楽しめる。これからの紅葉シーズンには、イチオシ。料理のコンセプトは「Farm to Table」。その日農園から送られて野菜を使ったメニューは、軽めのハーフコースがおすすめ。TEL:0570-064-128


【11月のCINÉMA】


「百花」

川村元気が実体験を基にした同名小説を、自ら監督を務めて映画化した作品。認知症を患い記憶を失っていく母親と、そんな母を介護する中で、封印していた自分の思い出と向かい合う息子の姿を描きだす。ラストシーンの、母と息子が並んで遠くの花火を見るシーンが印象的。菅田将暉と、原田美枝子がW主演、妻は長澤まさみ。2022年9月9日公開。


[11月のBOOKS]


『嫌いなら呼ぶなよ』 綿矢りさ 著 河出書房新社

「一応、暴力だろ。石でも言葉でも嫌悪でも」。妻の親友の家に招かれた僕。不倫を察知されて、妻の親友宅のパーティーで吊るしあげられる……心に潜む “明るすぎる闇“に迫る綿矢りさの新境地! 全4作収録。どの作品も怖いが、読後感は愉快で笑いを誘う。批評の矛先を自分にも向ける冷静さがいい。2022年7月27日刊 1400円


『もういいかい まあだだよ』 小椋佳著 双葉社

『シクラメンのかほり』、『愛燦燦』をはじめ数々のヒット曲を生み出したシンガー・ソングライター、小椋佳。喜寿を迎えた2021年、歌手活動からの引退を発表。ソングライター、銀行マン、夫、父親として、全力で駆け抜けた激動の人生と、そして迎えた老いの境地を、軽妙かつ珠玉の名言で語り尽くす。とにかく面白い。2021年12月25日刊 1500円


【神無月の二十四節気】

寒露 10月8日 (2022年)

草花に降りる冷たい露のこと。もうすぐ山野では紅葉が始まり、秋の草花も見頃になる。写真は、殿ヶ谷戸庭園の山査子(さんざし)の赤い実。

霜降 10月23日 (2022年)

秋も足早に通り過ぎ、今までより寒さが加わり、露が凍って霜に変わる頃。写真は、角川庭園の茶の花。金色の蕊のある白い五弁の花を開く。

【10月のCAFÉ】


旧軽井沢の「クレソン・リバーサイド・ストーリー」

旧軽の奥、ショー記念礼拝堂の手前に昨年オープンしたおしゃれなレストラン&パティスリー。木を切ることなく、木々の合い間を縫うように建てられた建物は、自然との融和の証し。鳥の声、川のせせらぎ、視界いっぱいに広がる季節を告げる苔庭。そして信州の素材を使った料理やデザート、五感すべてで軽井沢に浸れる店だ。TEL:0267-46-8037


【10月の
  RESTAURANT】
 

玉村豊男さんの「ヴィラデストカフェ」

長野県遠御市に開業して18年。「ブドウ畑の風景を見ながら、そのブドウから作られたワインを飲む。ガーデンを眺めながら、地元で採れたばかりの新鮮な素材を生かした料理を囲む。そんな田園のリゾートを目指しました」と、玉村さん。オードブル、メインディシュ、デザート、お茶までどれも美味。玉村さん自身が厨房に立つことも。TEL:0268-63-7704 →こちらからどうぞ


[10月のBOOKS]


『おいしいごはんが食べられますように』高瀬 隼子 著 講談社

第167回芥川賞受賞作。「私と一緒に、芦川さんに意地悪しませんか」など心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。職場でうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描いた作品。芥川賞も変わった。2022年3月24日刊 1400円


『夜に星を放つ』 窪美澄 著 文藝春秋

第167回直木賞受賞作。双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」をはじめ、人の心の揺らぎとその輝きを夜空にまたたく星に託した5編を収めた短編集。人間関係に傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける。どの作品も面白く読めた。2022年5月24日刊 1400円


【長月の二十四節気】

白露 9月8日 (2022年)

大気が冷えてきて露を結ぶころ。写真は散歩道のタカサゴフヨウ。花期は7月から9月。ムクゲに少し遅れて咲き始める、ムクゲそっくりの小さな花。

秋分 9月23日 (2022年)

日が短くなり、昼夜の長さがほぼ同じになる頃。写真は読書の森公園の萩の花。秋の七草としても有名で、細くしだれる枝に白や赤紫の小さな花をたくさん咲かせる。

【9月のCAFÉ】
 


森の中の楽園「カフェ・フェリーチェ」

西武新宿線都立家政駅から歩いて約10分。練馬区の住宅街に約3000坪の森「GARDEN SQUARE」が拡がっている。ここはカフェ、イタリア料理レストラン、フラワーショップの3店舗を構える複合施設。中でもカフェ「フェリーチェ」は、軽食やスイーツを気軽に味わえ、桜、新緑、紅葉と季節に合わせたリゾート気分に浸れる。TEL:03-3825-2992


【9月のTAKEOUT】

「四歩(しっぽ)」吉祥寺本店のお弁当

吉祥寺駅から徒歩10分の、古道具と日用雑貨を扱う小さな店。吉祥寺本店のみ、お弁当2種類と、ひよこ豆と挽肉のカレー、お子様弁当(写真)などが店内で食べられるが、テイクアウトも。お弁当は、どれも有機野菜などが使われていて健康志向。昨年、7月21日に「キラリナ京王吉祥寺」5階にサテライト店もオープンした。TEL:0422-26-7414


[9月のBOOKS]


「アナベル・リイ」 小池真理子著 角川書店

主人公・悦子の手記として綴られた幻想怪奇長編小説。突然の病で若くして命を落とした親友・千佳代。彼女の魂は悦子の周囲をさまよい、亡霊に怯えて暮らすようになる。その秘密が明かされていく過程を、ゾクゾクしながら一気読みしてしまった。書名は、エドガー・アラン・ポオが亡き妻をモチーフに書いた詩から。2022年7月29日刊 1800円


「あとは切手を、一枚貼るだけ」小川洋子/堀江敏幸著 中公文庫

交わす言葉、愛し合った記憶、離ればなれの二人の哀しい秘密。互いの声に耳を澄まして編み上げられたのは、純水のように豊かな唯一無二の小説世界。14通の手紙から、その秘密がしだいに浮かび上がる。文庫版にあたって執筆過程を振り返る著者対談を収録。久し振りに読み応えある「小説」に出遭った感じ。書名も秀逸。2022年6月22日刊 700円


【葉月の二十四節気】

立秋 8月7日 (2022年)

猛暑が続いているが、暦のうえではもう秋。これ以降は残暑に。秋の花もちらほら見かけられるように。写真は目白庭園の百日紅。季語では夏の花だが長く楽しめる。

処暑 8月23日 (2022年)

やっと暑さがおさまってくるころ。蝉にかわる夜の虫の声に秋の気配が漂う。写真は角川庭園の女郎花(おみなえし)、秋の七草の一つ。

【8月の
RESTAURANT】
 


庭園美術館のレストラン「 デュ パルク」

美術館正門横のレストランは、南青山のフランス料理の老舗、ロアラブッシュの姉妹店。シェフが腕によりをかけたメニュー(私はオードブル、スズキのパイ包み焼き、デザートなどのランチコース・写真)をいただきながら、窓外にうっそうと広がる庭園の四季折々の景色を楽しめる。美術館に入らなくても食事だけの利用も可。TEL:03-6450-3089


[8月のBOOKS]


『Yuming Tribute Stories』小池真理子、桐野夏生 、柚木麻子、川上弘美 著 新潮文庫

ユーミンの名曲が6人の作家によって新たな物語へ生まれ変わる、オリジナル中短篇集。 いまも胸に残る後悔、運命と信じたはかない恋心、忘れえぬ異国の光景、取り戻したかったあの瞬間の空気――。メロディーを耳にしただけで、あの頃の切ない想いが鮮やかに甦える永遠の名曲から。夏休みのお昼寝の友にどうぞ。2022年7月1日刊 590円


『歩道橋シネマ』 恩田陸著 新潮文庫

『蜜蜂と遠雷』で直木賞受賞作家の短編集。郷愁と不思議に彩られた表題作はじめ、学園の秘密『球根』、偶然出会った光景が物語を生成する『皇居前広場の回転』、ある青年の死をめぐって真実が明かされる『降っても晴れても』など、憧憬、恐怖、嗜虐、旋律、衝撃、恍惚、あらゆる感情が押し寄せる恩田陸の世界、全18話。2022年2月1日刊 710円


【文月の二十四節気】

小暑 7月7日 (2022年)

暑気に入る頃。夏の風物詩,ほおずき市や朝顔市が各地で開かれる。写真は不忍池の蓮の花、開花のピークは7~8月中旬。

大暑 7月23日 (2022年)

一年で最も暑い頃。夏の「土用」とも重なる時期で、丑の日には鰻を食べて夏バテ予防を。写真は、天沼弁天池公園の夏を象徴する向日葵。

【7月のNEWS】


小池真理子の講演会「生と死を書く」

去る5月22日、小池真理子のエッセイ『月夜の森の梟』にちなんだ軽井沢町立文化講座が、大賀ホールで開催。「生と死を書く~私の中を流れる時間」というテーマで、『月夜の森の梟』の朗読(青木裕子)とチェンバロの演奏(小澤章代)、続いて小池真理子の講演(聞き手は新潮社出版部長の中瀬ゆかり)という充実した2時間。全国から愛読者が集合した。
→こちらからどうぞ



私のエッセイが「文芸思潮」84号に掲載

第16回「文芸思潮」エッセイ賞で、奨励賞を受賞した「チェーホフの『おじいさん』のように」が、このたび、「文芸思潮」84号(6月25日発売)に掲載された。紀伊國屋書店新宿本店などで発売中。私が「主婦の友」編集部時代、永年指導を受けたFさんとの思い出を綴ったもの。すでにこのメールマガジンで発表済みだが、ご興味あれば。→こちらからどうぞ



【7月の
RESTAURANT】
 


伊豆高原の「オテル・ドゥ・ミクニ」

2019年秋にオープンした伊豆高原駅前のフランス料理レストラン。オーナーシェフ・三國清三がプロデュース、設計は建築家・隈研吾。新鮮な伊豆の恵みを使った料理と景色を一度に楽しめる贅沢な空間だ。メニューは「海の輝き」という手軽なコース(アミューズ、前菜、メイン、デザート、コーヒー)から、「海と大地のマリアージュ」、「海と大地と太陽のアルモニー」という豪華コースも。伊豆高原へ行ったらぜひ。TEL:0557-54-3920


【7月のCINÉMA】

これは現代の姥捨て山か?「PLAN75」

75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く問題作。当初は様々な議論を呼んだものの、「PLAN75」は超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れられた。夫と死別し、仕事も解雇された78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、その申請を検討するが。監督、早川千絵。6月17日全国公開。


[7月のBOOKS]


『ムーンライト・イン』 中島京子著 KADOKAWA

放浪の旅の途中、高原の元ペンションに一夜の宿を求めた拓海。そこはオーナーの虹さん、車椅子のかおるさん、元介護士の塔子さん、そしてフィリピンから来たマリー・ジョイが暮らすシェアハウスだった。人生の曲がり角で巡り合った男女の奇妙な共同生活が始まり、それぞれが抱える事情が明らかになる過程が興味深い。2021年3月2日刊、1700円


『作家の値うち』 小川榮太郎著 飛鳥新社

文芸評論家が令和の超ブックガイドとして、現役作家100人、主要505作品を100点満点で採点した本。ちなみに90点以上には「忘れられた巨人」(カズオ・イシグロ)、『槿』(古井由吉)、80点以上には『無花果の森』(小池真理子)、『国宝』(吉田修一)などが。「面白い小説が読みたい」と思っている人の手がかりに。2021年12月22日刊 1364円


【水無月の二十四節気】

芒種 6月6日 (2022年)

本格的な夏をひかえて、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く頃のこと。梅の実や、蛍、紫陽花など、この時期ならでは楽しみも。写真は、大田黒公園の夏椿。

夏至 6月21日 (2022年)

1年でもっとも日が長く、夜が短くなる日。いよいよ夏本番だ。写真は、那須高原の「コピスガーデン」の夏らしいアスチルベ。

【6月のCAFÉ】
 


善福寺公園を望むカフェ「nido(ニド)」

「鳥の巣」というイタリア語の「ニド」は、昨年11月オープンのリゾート気分のカフェ。ガラス張りの吹き抜け空間のある店内とテラス席からは、公園の花と緑と風が一望できる。テラス席は犬連れもOK。壁の絵画はニューヨーク在住の現代美術家、松山智一の作品。メニューは、本格的なコーヒーを始め、スイーツやフードが17種類。アプリコットソースのチーズテリーヌ(写真)が、濃厚でお勧め。TEL:03-6789-7441


【6月のCINÉMA】

第74回カンヌ国際映画祭出品作品「ベルイマン島にて」

20世紀最大の巨匠、イングマール・ベルイマン監督が晩年を過ごしたスウェーデンのフォーレ島を舞台に、映画監督カップルの創作の苦しみと愛情をめぐる物語。フォーレ島の自然や、ベルイマンがらみの建物などに魅了される。劇中劇が現実と混じり合い、同じ仕事をする二人の微妙な関係の変化が見どころ。監督はミア・ハンセンラブ。4月22日公開。


[6月のBOOKS]


『奇跡』 林真理子著 講談社

こんなにも人を愛してみたい…いう帯文に魅かれた。男は世界的な写真家、田原佳一、女は子供のいる梨園の妻、博子。「真実を語ることは、これまでずっと封印してきた」という博子の実話を、林真理子が書き下ろした。不倫という言葉を寄せ付けないほど、運命的で激しい恋だが、本人の筆ならもっと感動できたかも。2022年2月14日刊 1600円


『ミシンと金魚』永井みみ 集英社

第45回すばる文学賞受賞作。ケアマネージャーとして働きながら執筆しただけあって、認知症を患うカケイのこれまでがリアルに描かれている。暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」だ。生活のために必死にミシンを踏み続けたカケイに救いはあったのか。2022年2月10日刊 1400円


【皐月の二十四節気】

立夏 5月5日 (2022年)

暦のうえでは、早くも夏のはじまり。新緑が輝き、薫風が吹き、1年で最も爽やかな季節といえる。写真は石神井公園のカルミア。薄く模様が入った花を開く。

小満 5月21日 (2022年)

万物が成長し、天地に満ち溢れる頃。写真は荻窪の集い公園の金糸梅(キンシバイ)。濃い緑色の葉に映える黄金色の花は、初夏から夏へと移り変わる季節を知らせてくれる。

【5月のCAFÉ】


「Café 1894」のタイアップ・メニュー

ランチメニューは、「リチの庭」(写真)。前菜はマスカルポーネチーズのディップと花。メインは、鴨胸肉のローストと色とりどりの野菜のコントラスト。デザートメニューは、リチの出身、ウイーンのチョコレートケーキに、candyのデザイン画をイメージしたプレート。明治の銀行を復元したカフェの、趣と吹き抜けのフロアが素敵。TEL:03-3212-7156


【5月のTAKEOUT】

「どらやき」で人気の阿佐ヶ谷「うさぎや」

阿佐ヶ谷駅北口から3分。オープンして60年余、行列が絶えない和菓子店だ。何といっても「どらやき」が評判だが、そのほか「うさぎ万頭」、「兎月最中」、上生菓子など、いずれも「もう一つ食べたい」と思わせる伝統の上品な味が保たれている。和菓子は、季節を意識した伝承工芸。5月からは「若鮎」も店頭に並ぶ。TEL:03-3338-9230


[5月のBOOKS]


「ボタニカ」 朝井まかて 著 祥伝社

明治初期の土佐・佐川出身の牧野富太郎。小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭し上京。東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げる。貧苦にめげず、恋女房を支えに、知の種(ボタニカ)を究め続けた植物学者を描く長編小説。来年NHKの朝ドラにも。2022年1月20日刊 1800円


『ないものねだるな』 阿川佐和子 著 中央公論新社

『婦人公論』人気連載エッセイの書籍化。コロナ時代の到来後、始まったマスク騒ぎ、免疫力問題、蟄居生活など、かつて経験したことない恐怖と焦燥と発見の日々が綴られている。加えて母親の他界、忍び寄る老化現象との奮闘の日々。しかし読むと気持ちが楽になる、アガワ流「あるもので乗り越える」人生のコツが展開。2022年2月10日刊 1300円


【卯月の二十四節気】

清明 4月5日 (2022年)

陽気が満ちて万物の生命力が輝くころ。活気にあふれ、何かを始めるにもピッタリの季節。写真は,荻窪「衎芸館」の「シラユキゲシ」。

穀雨 4月20日 (2022年)

春の雨が煙るように降り、穀物を始め、様々な植物をやさしくはぐくみます。写真は、荻窪住宅街の「ナニワイバラ」。

【4月のCAFÉ】
 


井の頭恩賜公園内の「イノサンクカフェ(INO CINQ CAFÉ)」

昨年5月、井の頭第二公園に隣接しているクッキングスタジオがカフェをオープン。席は、店内でもテラス席でも自由に選べるが、これからは眼の前に広がる木々の緑を眺め、小鳥の声がじかに聞こえるテラス席がお勧め。木村伸子先生の料理教室が母体なので、ケーキセットもランチセットも、上質で安全な素材を使った丁寧な手作り。公園の一番奥なのでとても静か。このエリアの穴場かも。TEL:0422-44-0505


【4月のCINÉMA】

「金の糸」

女性監督ラナ・ゴゴぺリゼ(91歳)が、日本の「金継ぎ」に着想を得て描いた作品。主演の女性作家エレネも自身が演じる。舞台はかつてグルジアと呼ばれていたジョージアの首都、トビリシ。そこでエレネとその人生に関わった人々の過去、ソヴィエト連邦下の記憶が描かれる。岩波ホールで4月15日まで。当ホールは7月29日、54年の歴史に幕。


[4月のBOOKS]


「岸惠子自伝」岸惠子著 岩波書店

サブタイトルは、「卵を割らなければ、オムレツは食べられない」。戦争体験、女優デビュー、人気絶頂期の国際結婚、医師・映画監督である夫イヴ・シァンピと過ごした日々、娘デルフィーヌの逞しい成長への歓びと哀しみ……。川端康成、市川崑ら文化人・映画人たちとの交流や、中東・アフリカで敢行した苛酷な取材経験なども織り交ぜて綴る渾身の自伝。今まで知らなかった岸惠子の人生が見えてくる。2021年5月1日刊 2000円


【弥生の二十四節気】

啓蟄 3月5日 (2022年)

冬ごもりしていた虫たちが地上に這い出す頃。いちだんと春めいてくる。写真は、日比谷公園のクリスマスローズ。園内の一画のプランターがすべてこの花になる。

春分 3月21日 (2022年)

昼夜の長さがほぼ同じになる日。これから日はどんどん長くなる。写真は、我が家の向かいの長屋門に咲いたソメイヨシノ。古木だが見事に花をつける。

【3月のCAFÉ】
 


御茶ノ水のブックカフェ「エスパス・ビブリオ」

そろそろアウトドアを楽しみたいシーズン。御茶ノ水駅から7分、ビルの地下一階にあるが、階段を下りると本に囲まれた空間と、地下とは思えぬ緑の庭が拡がる。メニューはランチと深煎り珈琲とバスクチーズケーキなど。世界の写真家の作品集やファッション雑誌、建築本、映画本、料理本など約6000冊の蔵書を楽しめる。TEL:03-6821-5703


【3月のTAKEOUT】

吉祥寺の紅茶専門店「ムレスナティー東京」

惜しまれながら閉店したレストラン「芙蓉亭」が、昨年の9月24日、門と建物はそのまま、紅茶の店に生まれ変わった。1階では140種類のムレスナティー(セイロンティー)を販売。芙蓉亭時代の内装と外観がデザインされたオリジナル商品も。螺旋階段を上がった2階は、紅茶やスコーン、ケーキも楽しめるカフェに。TEL:0422-24-6710


[3月のBOOKS]


「向田邦子ベスト・エッセイ」向田和子編 ちくま文庫

角田光代の解説に「向田邦子の手にかかれば、ごく平凡に見える日常が鮮やかな色彩を帯びて動き出す。考え抜かれた言葉選びと胸がすくどんでん返しはまさにエッセイのお手本」とある。家族、食、旅、仕事、こだわりの品など、テーマ別に末娘が50編を精選。文庫オリジナル・アンソロジーだが、一挙に向田邦子が近い人になった。2020年3月10日刊 900円



「針と糸」 小川糸著 毎日文庫

私が『ライオンのおやつ』でファンになった人気作家の、デビュー10年目の節目に綴られたエッセイ。毎日新聞連載をまとめたもの。「物語を紡ぐことは、ちくちくと縫物をすることに似ている」という作者が、ベルリンをはじめ、ラトビア、モンゴル、鎌倉などで暮らしたことで知る、幸せの尺度の違い、書くことの原点。2022年2月1日刊 600円


【如月の二十四節気】

立春 2月4日 (2022年)

待ちに待った春の始まり。前日の節分に豆をまくのは、春を迎える前に邪気をはらうという意味が。写真は、野川公園に咲く可憐な節分草。この時期しか見られない。

雨水 2月19日 (2022年)

雪ではなく、雨が降るようになる頃。雪や氷も解け、土も柔らかく潤い、草木が芽を出し始める。写真は、井の頭公園の木の花、不思議な金縷梅(マンサク)。

【2月のCAFÉ】
 


南青山のヨックモック本店の「BLUE BRICK LOUNGE」

「ゆとりとくつろぎの時間を提供したい」というコンセプトで1978年に誕生。ティータイムは、紅茶とコーヒー、パンケーキ、プリンなどここにしかない季節の特別なスイーツが楽しめる。平日限定のランチセットは、キッシュ(写真)、ガレット、サラダボールほか、素材本来の味を実感できるお得メニュー。アペリチフ、スープ、ドリンク付き。テラスや屋外席もあり、これからの季節には特におすすめ。TEL:050-5484-3640


【2月のTAKEOUT】

天沼八幡通りのサンドイッチ専門店「Aola(アオラ)」

昨年の大晦日にオープン。新中野から移転してきたという知る人ぞ知るサンドイッチの専門店。イートインももちろん、テイクアウトもOK。種類はビーフ、チキン、マグロなどに、いづれも野菜やチーズなどがボリュームたっぷりにはさまれ、具がこぼれそうなのが人気の秘密。住所:杉並区天沼3-30-41 instagram:aola_ogikubo


[2月のBOOKS]


『ひとりでカラカサさしてゆく』 江國香織著 新潮社

タイトルに、帯文に度肝を抜かれた。「ほしいものも、行きたいところも、会いたい人も、ここにはもうなんにもないの」。大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女が、一緒に猟銃で命を絶つ。三人にいったい何があったのか。その謎はとけるのか。唐突な死をきっかけに絡み合う、残された者たちの日常の物語。2021年12月20日刊 1600円



『武相荘、おしゃれ語り』 牧山桂子著 小学館

白洲次郎・正子の長女が、初めて自ら登場。町田市鶴川の夫妻の自邸「旧白洲邸 武相荘」を舞台に、彼女の春夏秋冬の装いと、プリンシプルを公開。オートクチュールからプチプライスまでを自在に着こなすセンスが明かされる。また娘のみが知りうる白洲次郎・正子夫妻のエピソードや暮らしぶりも語られ、興味深い。2021年11月1日刊 1800円


【睦月の二十四節気】

小寒 1月5日 (2022年)

暦のうえでは寒さが次第に厳しくなる頃。「寒の入り」とも言われ、寒中見舞いは、この日から立春までの「寒の内に」。写真は、大田黒公園の乙女椿。

大寒 1月20日 (2022年)

一年で最も寒い頃。とはいえ大寒を過ぎれば立春。しばらくの我慢だ。写真は、今川の観泉寺の蠟梅。近隣では一番早く花と香りが楽しめる。

【1月のNEWS】


東京国立近代美術館で「民藝の100年」展

柳宗悦没後60年を記念して。「民藝」とは「民衆的工芸」を略した言葉。柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎らが蒐集した陶磁器、染織、木工、蓑、籠、ざるなどの暮らしの道具類をまじかに見学できる。総点数400点を超える作品と資料を通して、民藝とその内外に広がる社会や歴史、経済が浮かび上がった。2月13日まで


【1月のCAFÉ】


神田明神の古民家「カフェ井政」

下記の『東京古民家カフェ日和』のトップに紹介されている、神田明神の隣にあるカフェ。江戸時代から材木商を営んできた遠藤家が、関東大震災後に建てた店舗併用住宅。伝統技術を受け継いだ職人達が、銘木や良材を用いて建てた家で、都心部の木造住宅としては貴重な存在。カフェのほか、折に触れ、伝統行事も公開される。TEL:03-3255-3565


【1月の
  RESTAURANT】

六本木ミッドタウンの「不室屋カフェ」

昨年7月21日にリニューアルオープンした六本木サントリー美術館のカフェ。店内は隈研吾設計。ランチは新メニュー「加賀麩とりどり膳」(写真)が。九谷焼のお皿に、よもぎ生麩のお刺し身、くるま麩カツレツ、あわ生麩の味噌田楽、丁字麩と青菜のお浸し、生麩のしぐれ煮、香の物、生麩まんじゅうに椀物など。2090円。甘味もあり。TEL:03-3479-8600


[1月のBOOKS]


『月夜の森の梟』 小池真理子著 朝日新聞出版

読者に圧倒的共感を呼んだ朝日新聞連載の待ちに待った書籍化。藤田宜永、小池真理子夫妻は、二人とも直木賞作家。思いがけず夫が肺がんの余命宣告をされ、二人は死と向き合い、どのように過したか。残された著者は、その日その時の風景、そして自分の気持ちを、真摯にとらえている。何度でも読み返したい一冊。2021年11月30日刊 1200円



『東京古民家カフェ日和』 川口葉子著 世界文化社

今なお懐かしい姿をとどめる、古民家カフェの初の東京ガイド。心癒される写真とともに築50年以上の古民家と、それを受け継ぐ店主の珠玉の物語が紹介されている。建物は、もとは民家や薬局、蕎麦屋、蔵、旅籠など。路地に残る家、街道道沿いの家、森に囲まれた家など40軒。この本片手にそろそろ出かけてみては。2019年3月30日刊 1500円


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