TOPICS ARCHIVE
2021年
【師走の二十四節気】
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大雪 12月7日(2021年)
寒さが厳しくなり、雪も多くなる。動物達は冬眠に入る。最後の紅葉が楽しめる頃だ。写真は小石川後楽園の楓の紅葉。
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冬至 12月22日(2021年)
一年でもっとも夜が長い日。これからまた日が伸びるので、「一陽来復」とも言われる。写真は角川庭園の紅侘助。これから各種の椿が楽しめる。
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【12月のCAFÉ】
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牛込の紅茶専門店「The tee Tokyo」
東西線神楽坂駅より6分。スリランカ国内で最大級のティー・ブランド「ムレスナ社(MlesnA)」のフレーバーティーがそろえられている。特に、「ティーフリー(HOT TEA)」は、一杯毎に違った紅茶を次々楽しめる特別なメニュー。オリジナルサンドイッチや、ホットケーキと組み合わせると、よりムレスナの世界を楽しめる。TEL:03-6280-7305
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【12月の
RESTAURANT】
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「石見銀山群言堂西荻窪暮らしの研究室」
西荻窪南口の古民家カフェ「リゲンドウ」が、コロナを機会に、原点に帰ってリニューアルオープン。建物は同じだが、ランチメニューは「暦のごはん御膳」一品だけ。出雲神結米土鍋炊きごはんに、岩中豚の有馬煮、暦の小鉢3品、おみおつけで1650円。ご飯が超美味しかった。ランチ以外にも、お茶や甘味が気軽に楽しめる。店内では従来通り、こだわりの食材、食器、衣類の販売も。TEL:03-5941-8664
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[12月のBOOKS]
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『星のように離れて雨のように散った』 島本理生著 文藝春秋
『ファーストラヴ』で直木賞を受賞した作者の最新作。「主人公の『私』と、消えた父親と、『銀河鉄道の夜』という三つの未完の物語をとおして、銀河の闇のむこうに消えたものを見つけたくて書き始めた」と、あとがきにある。とはいえ難解な作品ではなく、人生の岐路に立つ女子大学院生を通して描く魂の彷徨の物語。2021年7月30日刊 1400円
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『自転しながら公転する』 山本文緒著 新潮社
東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。結婚、仕事、親の介護、ぐるぐる思い惑いながら幸せを求める姿が描かれている。タイトルと表紙の奇抜さでつい手に取ったが、主人公が悩みながらも前に進んでいく様を象徴するにはふさわしい。10月13日逝去(58歳)。2020年9月15日刊 1800円
【霜月の二十四節気】
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立冬 11月7日(2021年)
冬のはじまり。あたたかな小春日和と、冷たい時雨の降る日を繰り返しながら、徐々に冬らしくなってくる。写真は小石川後楽園の石蕗(つわ)の花。
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小雪 11月22日(2021年)
寒さが進み、そろそろ雪が降り始める頃。ぐんと冷え込む日も増えてくる。写真は、目白庭園の寒木瓜(かんぼけ)の花。
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【11月のCAFÉ】
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村上春樹ライブラリ―の「橙子猫」
「オレンジキャット」という名前は、 村上夫妻が学生時代にはじめたジャズ喫茶「ピーターキャット」の由来になっている猫が、オレンジキャットと言われる種類だったため。 早大生3人が主体となって経営している。メニューは、コーヒー、紅茶、ダンス、ドーナツなどの軽食。ライブラリ―の帰りに立ち寄ってみては。TEL:03-5286-1257
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【11月の
RESTAURANT】
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鶴川の旧白洲邸「武相荘(ぶあいそう)」レストラン
1943年に白洲次郎と正子が引っ越してきた家。武蔵と相模のこの地に因んだ白洲流の命名で、現在は当時のものが陳列されたミュージアムやレストラン、カフェに。レストランはクラシックな店内も、雲南黄梅が垂れ下がったテラス席も気持ちいい。野菜嫌いだった白洲次郎のために野菜を擂り込んだという名物のチキンカレーをはじめ、親子丼など懐かしいメニューがそろっている。TEL:042-708-8633
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[11月のBOOKS]
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『やさしい猫』 中島京子著 中央公論新社
直木賞作家の『読売新聞』夕刊連載を単行本化。410ページという長さに躊躇したが、読み出したら止まらなかった。語り手マヤが、「きみ」に話しかける形ではじまるが、「きみ」が誰かは最後になって明かされる。マヤの母親、シングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、8歳年下の自動車整備士クマさん。小さな幸せが突然奪われたのは、彼がスリランカ出身の外国人だったから。入管行政という重いテーマを、読みやすい家族小説として書き綴ったその手腕は見事だ。書名は、クマさんが語ってくれたねずみと猫の「おはなし」から。著者はこの作品で、また大きく飛躍したように思う。この冬一押しの一冊。 2021年8月25日刊 1900円
【水無月の二十四節気】
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寒露 10月8日(2021年)
草花に降りる冷たい露のこと。もうすぐ山野では紅葉が始まり、秋の草花も見頃になる。写真は、中軽井沢のコスモス。
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霜降10月23日(2021年)
秋も足早に通り過ぎ、今までより寒さが加わり、露が凍って霜に変わり始めるようになる頃。写真は、目白庭園の秋明菊。
【10月のNEWS】
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私の短編小説集『夢の夢こそ』を、新潮社より自費出版!
さばえ近松文学賞の「近松賞」受賞の『夢の夢こそ』をはじめ、いくつかの文学賞受賞の作品を中心にした短編集がいよいよ完成。9月26日、紀伊国屋書店新宿本店はじめ、全国の主要書店三十一店舗やアマゾンから発売に。主人公達は、人生の半ばをすぎた中高年の男女。近松の時代も、現代も変わらぬ恋の真実を綴る。1400円。→こちらからどうぞ
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【10月の食事処】
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上野恩賜公園内の老舗料亭「韻松亭」
明治8年創業とあって、歴史ある佇まいは見逃せない。料理は、豆菜料理を中心とした本格的な会席。季節によって表情を変える上野の杜の美しい風景とともに、旬の食材をふんだんに使った料理が楽しめる。大小の和室から、椅子席の洋室、カウンター席まであって、2人から80人の宴会まで可能。TEL:03-3821-8126
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【10月のCAFÉ】
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神田明神の古民家カフェ「乙珈琲」
御茶ノ水駅から5分、神田明神の参道にある喫茶店。店内は、以前の商店を活かしてリノベーションしているので、木のぬくもりが感じられる作り。床板や柱の色は、経過した年月を感じさせる。ネルドリップで丁寧に淹れたコーヒーは、本格派。お勧めはチーズケーキ。クリームチーズの濃厚な風味が口の中で広がる。TEL:03-3253-4600
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[10月のBOOKS]
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『小説伊勢物語 業平』 高樹のぶ子著 日経BP日本経済新聞出版本部
伊勢物語は平安の昔から愛され読み継がれてきた歌物語。この小説は、美しい容貌と色好みで知られる在原業平の一代記として、日本文学史上の美の本質を追及する。〈つひに行く道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思わざりしを〉など、数々の歌も紹介。日経夕刊の注目の連載を1冊にした458ページ。 2020年5月1日刊 2200円
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『類』 朝井まかて著 集英社
明治44年、森鴎外の末子として誕生した類。大正11年に父が亡くなり、画家を志しパリへ遊学。帰国後、結婚。昭和26年、千駄木で書店を開業。文筆の道で才能を認められていくが……。明治、大正、昭和、平成。時代に揺さぶられながら、自らの生と格闘し続けた生涯が鮮やかに描かれている494ページの注目の長編。2020年8月30日刊 1900円
【長月の二十四節気】
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白露 9月7日(2021年)
大気が冷えてきて露を結ぶころ。ようやく厳しかった残暑がおさまり、待ちに待った秋の訪れだ。写真は、善福寺川沿いの露草。
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秋分 9月23日(2021年)
日が短くなり、昼夜の長さがほぼ同じになるころ。これからはしだいに日が短くなり、秋が深まってくる。写真は、読書の森公園の池のほとりの萩。
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【9月のCAFÉ】
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ストア併設の「イッタラ表参道カフェ」
イッタラにとって世界初となるカフェ。ストアと同じく隈研吾の内装で、ここも広々とした気持ちいい空間。コロナ真只中の開店なので、感染対策も万全。フィンランドスイーツ「ラスキアイスプッラ」(写真)をはじめ、スイーツやドリンクも充実。イッタラの食器で、窓際にディスプレイされたイッタラ商品を眺めながら。TEL:03-5774-0052
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[9月のBOOKS]
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『にぎやかな落日』 朝倉かすみ著 光文社
ベストセラー『平場の月』の著者が、ひとりの老女の内面に寄り添う、新たな代表作。北海道で独り暮らしをするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から電話をくれる。だが持病が悪化して、自らもシニアマンションへ。不安と寂しさと小さな幸せに揺れる老境の心情が、笑えて、泣けて、切々と迫ってくる。2021年4月30日刊 1600円
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『老いの福袋 あっぱれ!ころばぬ先の知恵88』 樋口恵子 著 集英社
高齢社会をよくする女性の会理事長、88歳の著者の、人生100年時代を照らす「知恵とユーモア」がつまったエッセイ。2025年には国民の5人に一人が75歳以上となり、国民の3割が65歳以上、どこをみてもおじいさん、おばあさんだらけになるという現実のなかで、今日から実践できるヒントにあふれている。2021年4月20日刊 1540円
【葉月の二十四節気】
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立秋 8月7日(2021年)
猛暑続きなのに、暦のうえでは、もう秋。これ以降は残暑に。秋の花もちらほら見かけられるように。写真は殿ヶ谷戸庭園の薄紫の蓮華升麻(れんげしょうま)。森の妖精とも。
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処暑 8月23日(2021年)
やっと暑さがおさまってくるころ。今年の「特別な夏」も、終わりに近づいて。蝉にかわる夜の虫の声に秋の気配が漂う。写真は、秋の七草の一つ、軽井沢の女郎花(おみなえし)。
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【8月のCAFÉ】
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森鴎外記念館1階の「モリキネカフェ」
千代田線千駄木駅から約3分。鴎外生前からあるという大銀杏や沙羅の木、「三人冗語の石」など鴎外ゆかりの庭園を眺めながら、お茶やランチを楽しめる。紅茶はドイツのロンネフェルト社製で美味。お勧めはモリキネプレート(写真)。ドイツパン、ソーセージ、コンビーフ、自家製のピクルス、ヨーグルト、ドリンクで1000円。TEL:03-3824-5511
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【8月のSWEETS】
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阿佐ヶ谷のパティスリー「ア・ラ・カンパーニュ(à la campagne)」
神戸発のパティスリーで、ことしの4月22日に、阿佐ヶ谷駅3分の中杉通りにオープンしたばかり。南仏プロヴァンスをイメージした温かみあふれるスイーツ、ケーキ、タルトは早くも大人気。スイーツ類は、リュステック、シトロンなどフルーツ使いががポイントで、一個700円台。それでも開店と同時に行列ができる。TEL:03-6276-9910
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[8月のBOOKS]
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『小さな神たちの祭り』 内館牧子著 潮出版社
東日本大震災から10年。アジアテレビジョンアワード最優秀作品受賞のドラマを、脚本家・内館牧子が自ら書下ろした小説。谷川晃は宮城県南部の街・亘理のいちご農家の長男、東京の大学に進学のために上京したその日、家族全員が津波に呑まれ、8年経っても誰一人見つからない。晃の心の復興を感動的に描いた作品。2021年3月11日刊 1600円
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『百合中毒』 井上荒野著 集英社
イタリア人の若い女と恋仲になり、家族を捨てて出て行った父親が、病を得て25年ぶりに戻ってきた。妻は、夫との出会いの場所に咲き乱れていた百合の花を思い出す。猫にとっては危険な中毒を引き起こす花だという。家族とは、夫婦とは、七人の男女の目線から愛を問い直す、著者ならではの意欲作。2021年4月26日刊 1650円
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『俳句をつくろう』 おおぎやなぎちか(俳号 北柳あぶみ)著 国土社
辻桃子・安部元気監修
わくわく子ども俳句スクール①~➂。子どもが俳句を学習する助けとなるよう制作されたシリーズ。子どもたちに俳句の魅力を伝え、親しんでもらえるための工夫満載。例句も芭蕉、蕪村から子どもまで多彩。大人も始めの一歩に。2021年7月30日刊 各3400円
【文月の二十四節気】
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小暑 7月7日(2021年)
暦のうえでは、そろそろ梅雨が明け、太陽が照り付け、暑さが本格的になる頃。またこの日は、五節供の一つ「七夕」、ただし旧暦では8月に。写真は、天沼弁天池公園のヒマワリ。
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大暑 7月22日(2021年)
もっとも暑い真夏の頃。これから15日くらいが暑さのピークとなる。風鈴、花火、蚊遣りなど、夏の風物詩が目白押し。写真は、近所の散歩道のムクゲ。
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【7月のCAFÉ】
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上野公園内の「PARKSIDE CAFE」
何回か紹介しているが、上野の美術館帰りにお勧めなのはやっぱりここ。コロナ禍の中でも人気だが、昼時をはずせば行列しないでも。木の温もりを感じられるウッディな店内やテラス席で、自然を感じながらリフレッシュできる。季節の野菜やフルーツのサンドイッチやスイーツ、フレッシュハーブティ―(写真)などが好評。TEL:03-5815-8251
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[7月のBOOKS]
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『神よ憐れみたまえ』小池真理子著 新潮社
最愛の伴侶、藤田宜永氏を看取るなか、著者が十年の歳月をかけて書下ろした大河ミステリー。その作家魂に脱帽。昭和38年、三井三池炭鉱の爆発と国鉄事故が同日に発生した夜、12歳の黒田百々子は何者かに両親を惨殺された。その事件によって、百々子の人生は何度も塗り替えられていく……。必読の1100枚。2021年6月24日刊 2200円
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『京都古民家カフェ日和』 川口葉子著 世界文化社
東京に続く京都編。鴨川で珈琲を味わえるカフェ、お茶に心をしずめるカフェ…全国二千軒以上のカフェを訪ねた著者が紹介する築五十年以上の建物を転用・再生したカフェ四十三軒。京町家の洗練された姿から、京都の高度な生活文化もうかがえる。気ままに京都散歩ができる日まで、せめてこの本で楽しみたい。2021年4月30日刊 1500円
【水無月の二十四節気】
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芒種 6月6日(2021年)
本格的な夏をひかえて、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く頃のこと。写真は、角川庭園の下野草(しもつけそう)。夏の始め、枝先に小さな花をたくさんつける。
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夏至 6月21日(2021年)
1年でもっとも日が長く、夜が短くなる日。これから暑さが増して行く。写真は、散歩道のアガパンサス。梅雨時から夏にかけて、長く伸びた茎の先にたくさんの小さな花がつく。
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【6月のCAFÉ】
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表参道の蔦におおわれた隠れ家「蔦珈琲店」
骨董通りの一本裏道、青山学院大学脇の「アイビー通り」沿い。創業1988年の蔦に囲まれた喫茶店は、建築家・山田守邸の一部を借りて改装した店。店に入れば、まずはクラシック音楽がお出迎え。テーブル席の横には、庭に面した大きな窓があり、季節のうつろいが感じられる。コーヒーはマスター厳選のブラジルサントス№2のみ。紅茶やケーキ、軽食も。サラダたっぷりのクロックムッシュのランチ(写真)が人気。TEL:03-3498-6888
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[6月のBOOKS]
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『フランスの小さくて温かな暮らし365日』 荻野雅代、桜井道子著
自由国民社
フランス版の毎日の暮らし歳時記だ。4月1日から始まって、1日1ページ、カラー写真1枚と、文章400字で構成。フランスに住む人たちの習慣、食べ物、ふと幸せを感じるひとときなどに触れ、日々を心地よく丁寧に過ごすためヒント満載。何気ない日常がもっと愛おしくなる、暮らしに取り入れたい毎日のエッセンス。2021年03月5日刊 1700円
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『神様からひと言』荻原浩著 光文社文庫
5月の新聞広告では85万部突破!とか。今月のイチオシになっている話題の本。広告代理店を辞め、食品会社に再就職した佐倉涼平が、入社早々トラブルを起こし、「お客様相談室」へ異動。上司や同僚にもまれ、クレーム処理に奔走する奮闘ぶりを、神様は見てくれているのか。久々に現役時代を思い出した痛快な一冊。2005年3月10日刊 755円
【皐月の二十四節気】
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立夏 5月5日(2021年)
夏のはじまり。新緑が輝き、薫風の吹く、1年でもっとも爽やかな季節。写真は、角川庭園の小紫陽花(コアジサイ)。約4ミリの小さな花が密集していて、かわいい。
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小満 5月21日(2021年)
万物が成長し、命がしだいに満ち満ちていくころ。写真は、近所の柘榴(ザクロ)の花。本格的な暑さが来る前、鮮やかなオレンジ色の花を咲かせる。
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【5月のCAFÉ】
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竹林と雑木林に囲まれた「カフェおきもと」
国立駅南口から10分、国分寺崖線の高台にある隠れ家的カフェ。昨年10月、約2000㎡の敷地に、昭和7年に建築された沖本邸の洋館がカフェに、数寄屋造りの和館が多目的ギャラリーに生まれ変わった。木造2階建てのアーリーアメリカンスタイルの洋館は、川崎忍設計。外観や建物内は当時の面影がくっきり。庭にはテラス席があり、まるで高原の別荘に来たような雰囲気。人気シェフによるランチやスィーツも好評。TEL:042-572-1234
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[5月のBOOKS]
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『愛さずにはいられない』 藤田宜永著 新潮文庫
無軌道な少年時代と実母との確執とを赤裸々に描き、「この作品こそ自分自身」と著者に言わしめた自伝的作品。遺された数多くの作品の原点ともいえる、1370枚に及ぶ伝説的長編の文庫化。小池真理子の解説「夫、藤田宜永が渾身の想いで書いた最初で最後の自伝小説」という「不器用な情熱の記録」11ページが圧巻。2021年4月1日刊 1050円
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『家族じまい』 桜木紫乃著 集英社
『ホテルローヤル』で第149回直木賞を受賞した著者の最新作。認知症の母と、かつて横暴だった父……。「両親の老い」と「自分たち夫婦の老い」を目の前にして、姉妹たちの家族それぞれの思いや生き方を真摯に描いた長編小説。とても重い内容だが、親の年代に近い私には、読まずにはいられない一冊だった。2020年6月10日刊 1600円
【卯月の二十四節気】
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清明 4月4日(2021年)
万物の生命力が輝く頃。活気にあふれ、何かを始めるのにもぴったりの季節だ。写真は、私の散歩道のひめりんごの花。毎年、小さなやさしい花を開く。
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穀雨 4月20日(2021年)
春まっさかり。煙るような雨が降り、穀物をはじめ、さまざまな植物をやさしくはぐくむ頃だ。写真は、読書の森公園のナニワイバラ。この季節、大きめの白い花がいくつも。
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【4月のCAFÉ】
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「WOODBERRY COFFEE ROASTERS 荻窪店」
この店の4店舗目が、昨年12月21日、荻窪・四面道にオープン。3階建てで、1Fは焙煎所とキッチン、2Fは約30席のカフェ、3Fは週末限定コーヒーカクテルバーと、建物もインテリアもおしゃれ。グリーンが各所に。コーヒー好きには見逃せない店だが、紅茶好きにも向くドリンク類も。ランチメニューも充実している。 TEL:03-6454-7785
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[4月のBOOKS]
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『十年後の恋』 辻仁成著 集英社
コロナ禍のパリを舞台に描く新しい大人の恋の物語。離婚して10年、パリで暮らすマリエは、映画製作会社でプロデューサーとして働きながら2人の娘を育てていた。小さな投資グループを主催するアンリと出会い、強い存在感とミステリアスな雰囲気に魅かれていく。コロナに翻弄される二人の恋の行方に注目! 2021年1月30日刊 1700円
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『平場の月』 朝倉かすみ著 光文社
山本周五郎賞受賞作。埼玉県南部、一般の人々が暮らす「平場」を舞台にし、どこにでもいそうな元男子と元女子が再会し、ラブストーリーが展開する。互いに名字で呼びあう青砥と須藤の心理描写は、50歳という年齢にまつわる人生のあれこれについて考えさせられる。ラストシーンでは珍しく涙が出た。お勧め! 2018年12月20日刊 1600円
【弥生の二十四節気】
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啓蟄 3月5日(2021年)
冬ごもりをしていた虫たちが、地上にはい出す頃。いちだんと春めいてくる。写真は、小石川後楽園の日向水木。遊歩道沿いに、黄色い小さな花が楽しめる。
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春分 3月20日(2021年)
日が伸び、昼と夜の長さがほぼ同じになる頃。これからは日がどんどん長くなる。いよいよお花見が。写真は、我が家の向かいの長屋門の桜一番、古木ながら見事な花をつける。
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【3月のCAFÉ】
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美術館併設の「カフェ ヴァローリス」
店名は、ピカソが工房を構えた南仏の小さな陶芸の町にちなんだもの。写真のミニャルディーズセットのケーキは、ここだけで味わえるレモンとヌガーの香ばしさが絶妙の「ヴァローリス」。天井の高い広々としたスペースには、カフェのほか、ミュージアムショップや、ピカソ関連の書籍が閲覧できるライブラリースペースも。TEL:03-3486-8000
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[3月のDVD]
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「風の電話」
岩手県大槌町に実在する電話ボックス。「天国に繋がる電話」として人々に広まり、震災以降、3万人を超える人々が訪れているという。そんな悲しみを抱える人々に、寄り添う映画。監督は諏訪敦彦。主人公ハルはモトーラ世理奈。西島秀俊、西田敏行、三浦友和らが脇を固める。東日本大震災からちょうど10年、必見! 2020年1月公開。
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[3月のBOOK]
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『推し、燃ゆ』 宇佐見りん 著 河出書房新社
第164回芥川賞受賞作。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。「逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ」アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐ高校生のあかり。推しの心境が鮮やかに描かれているが、ある日突然、推しが炎上。ラストで、あかりが綿棒をばらまくところに共感。2020年9月11日刊 1400円
【如月の二十四節気】
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立春 2月3日(2021年)
春のはじまり。まだまだ厳しい寒さのなか、気が付けば梅が咲き、鴬が鳴き、ゆっくりと春が近づいて。写真は、向島百花園の白梅、白加賀。
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雨水 2月18日(2021年)
雪ではなく、雨が降るようになるころ。雪や氷も解け、土も柔らかく潤い、草木が芽を出し始める。写真は、大谷戸さくら緑地の、イヌフグリ。
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【2月のCAFÉ】
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目白駅前の和菓子店「寛永堂目白本店」
寛永のときより菓子を伝えて三百九十年という、京都四条に本店のある和菓子店。目白駅近くのこの店は、伝統の和菓子の販売のほか、喫茶スペースも。善哉、葛切り、抹茶と和菓子、かき氷などが楽しめる。ステンドグラスを使われた広々とした店内は、打ち合わせにも、ひとり甘味をいただくのにも最適。TEL:03-5988-7656
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[2月のBOOKS]
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「2020年の恋人たち」 島本理央著 中央公論新社
直木賞受賞後長篇第一作。ワインバーを営んでいた母の、突然の事故死。落ち着く間もなく、店を引き継ぐことになった前原葵32歳。同棲していた恋人の港、母の店の常連客だった幸村、店を手伝ってもらう松尾、試飲会で知り合った瀬名、そして……。めまぐるしく動く日常のなかで、葵が選んだものは。 2020年11月24日刊 1600円
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「旅のつばくろ」 沢木耕太郎著 新潮社
著者、初の国内旅エッセイ。旅のバイブル『深夜特急』で世界を縦横無尽に歩いた沢木耕太郎の初めての旅は16歳の時、行き先は東北だった。あの頃のようにもっと自由に、気ままに日本を歩いてみよう。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評を得た連載の単行本化。私も車内で愛読していた。2020年4月20日刊 1000円
【睦月の二十四節気】
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小寒 1月5日(2021年)
暦のうえでは寒さが次第に厳しくなる頃。「寒の入り」と言われ、寒中見舞いはこの日から、立春までの「寒の内」に。写真は、角川庭園の水仙。
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大寒 1月20日(2021年)
一年でもっとも寒さが厳しい頃だが、日が次第に長くなり、春へ向う時期。「立春」までなんとか寒さを乗り切りたいもの。写真は、小石川後楽園の梅「光圀」。
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【1月のRESTAURAN】
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阿佐ヶ谷の隠れ家フレンチ「山猫軒」
お正月、和食に飽きたら、フレンチはいかが。阿佐ヶ谷駅の北口の宮沢賢治ゆかりのレストラン。Laputaという映画館の3階と4階。無農薬野菜と産地直送の魚にこだわり、体にいい料理を目指しているという店。価格もコースで2300円からと手頃。広々とした店内、ナチュラルなインテリアもくつろげる。TEL:03-3336-5445
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[1月のCINÉMA]
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「おもかげ」
久しぶりに映画館で。6歳の息子を亡くしたエレナは、10年後、そのフランスの海辺のレストランで働いているが、息子に似たフランス人の少年ジャンと出会う。二人の関係は周囲に混乱を招くが…失意から立ち直り、新たな一歩を踏み出そうとする一人の女性の希望と再生の物語。主演のマルタ・ニエトの迫真の演技が光る。監督はロドリゴ・ソロゴイェン。
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[1月のBOOKS]
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『灯台からの響き』 宮本輝著 集英社
地方紙で連載されていた芥川賞作家、宮本輝の人気作の書籍化。本の間から見つかった、亡き妻宛ての古いハガキ。なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ夫の蔵書に挟んでおいたのか。妻の知られざる過去を追い、男は灯台を巡る旅に出る。市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。2020年9月10日刊 1900円