最後のリォームのつもりだったが……
2014年05月01日
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二十六歳で家を出てから、この年になるまで、何回住み替えとリフォームを繰り返したことか。仕事がインテリア雑誌の編集だったこともあって、ついつい力が入り、ずいぶんお金と時間を使ってしまった。今回は、年も年だし、これが最後のリフォームと、覚悟を新たにした。 でも間取り変更のような、大掛かりなことは何もしないで、床の張り替えと、木部塗装に絞ったのだが、これが意外と大仕事。業者からは、家具を動かしながらの工事だから、リビングの七つのチェストに収納してあるものは、すべて段ボール箱に詰めて欲しいとの、要望だった。 あの世に持って行けるものなど何もないわけだから、持ち物はどんどん捨てられると思ったが、意外とそうもいかない。 年末年始にかけて、とっておくものと、捨ててしまうものを選別した。 とっておいたものは、ささやかな自分の著書と、自分の文章が掲載された雑誌や新聞。自分の手がけた雑誌、ムック、書籍のうち思い出深いもの。アルバム、まだ読みたい本、見たいDVD、聴きたいCD、捨ててはいけない書類など。 処分したものは、もう読まないであろう本の山、雑誌、洋書、画集、シャンソンのLPレコード、古い手紙や年賀状の束、古い書類、オペラの豪華パンフレットなどなど。なつかしいものばかりだったけれど、思い切って捨てた。 でも、二月になって、いざ段ボール詰めの段階になったら、まだまだものが多い。それでチェスト一つが、段ボール箱二個と決めて、入りきれないものはさらに捨てた。最終的に、残すものを詰めた段ボール箱は、十八個になった。 あと問題だったのは、工事期間中の自分の身の置き場。それは、軽井沢のリゾートマンションから吉祥寺のビジネスホテルへと、急遽変更したけれど、十日の予定が一週間ですんで、早目に家へ戻れた(前号参照)。 リフォーム後のフローリングは、7.5cm幅の床材から、14.5cm幅の防音床材に変更し、色もダークなものから、ハーベストバーチ柄というナチュラルなものにしたので、室内が明るく広々とした感じになった。太陽にも水にも衝撃にも強いとのことだから、前と違って、一生ものとして使えるだろう。巾木は、ミルベージュという色に変え、木部も床に合わせて明るいグレイに塗り替えた。工事の最後に、業者が、チェストを始め、家具類を元通りに設置してくれた。 私は、一人で十八個の段ボール箱の開梱をしたが、思い切り持ち物を減らしておいたので、スムーズにことは進んだ。棚には、空きスペースさえ生まれた。暮から力仕事が続いたが、風邪もひかず、腰痛も出なかったのは幸いだった。 これで、いよいよリフォーム終了と思ったが、そうはいかなかった。古い家具、特にダイニングチェアは座面の傷みや、汚れが目立つ。敷物は床と色がミスマッチ。手を付けなかったバスルームはかびよごれがひどいと、今回触らなかった部分の傷みや汚れが気になりだした。 椅子の張り替えや、玄関マットの買い替え、浴室のクリーニングと、これからしなくてはいけないことがまたまた出て来た。でもこれでおしまいと座り込むより、まだまだと、明日へ目が向くのはいいことかもしれない。私のインテリアへのこだわりは、どうやらエンドレスになりそうだ。