舞良戸(まいらど)をごとり開ければ春の雪 声いかに雄雛女雛の唇小さき 皿洗ふ立夏の水の跳びはねて 閼伽桶(あかをけ)に青葉若葉のうつりけり 大の字の昼寝いざなふ座敷かな 蟻地獄石ころひとつ投げ込むも 鹿威し(ししおどし)三度聞いては飽きにけり 龍淵に遅野井の瀧ちよろちよろと 筆はじめ那智黒硯おもむろに 冬ともし格(ごう)天井のなほ昏く