花満ちて好きもきらひもまう忘れ 百千鳥祝詞の声とあひ和して 緑さす抹茶のやうな河であり 走り梅雨これほど降るとは思はざり 夜濯(よすすぎ)やふと思ひだし笑ひして 出棺や蝉しぐれただ蝉しぐれ 月の座や老師奏でる平家琵琶 買うてきし柿生の里の禅寺丸 杜鵑(ほととぎす)下駄片方の見つからず 朝日さす硝子のビルや冬紅葉