春ショールぎゆつと合はせて坂上がる 夏帽や佃小橋をわたりくる 路地奥に子育地蔵蛇の衣 夏草やここは栄えしホテル跡 虚子像や下を蜥蜴のしゆるしゆると 萩咲くやほろと土塀の崩れては かな女忌や古き手紙を焼きもして 犀星も歩みし径や野ばらの実 冷たそと手水の横を通りけり 啓蟄や初の小説上梓して