詐欺に遭いかけた?
2024年3月23日 朝日新聞「ひととき」掲載
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3月7日の「天声人語」を読んだ。作家の岸田奈美さんが、東京都内の裏路地を歩いていたら、30分間で6人に声をかけられた。マルチ商法の勧誘だったそうだ。 私も最近、怖い目に遭いかけたので、こんな新手の詐欺もあるのかと驚いた。 先週、新宿駅の乗り換え通路を歩いていたら、会社員風の中年の男性に声をかけられた。 「あなたはまさに僕のタイプなんです。ナンパなんかじゃありません。自己紹介させてください」と、ふところから名刺のような物を取り出す。 びっくりした。「急いでいますから」と即座に断ったら、男は何も言わず人混みに消えた。 私は80歳近いおばあさんだし、ダウンジャケットにパンツ、スニーカーという金持ちとはほど遠い身なりだった。ナンパや物取りの対象になるはずはない。 マルチ商法の勧誘だったのだろうか。違うかもしれないが、似たり寄ったりの何かの勧誘だったのだろう。 新聞には「8人に1人が消費者トラブルに遭う時代」とあった。年をとればとるほど危険は増す。 本当に、ひとごとではないと痛感した。