友の退院 非常食贈る
2014年7月31日 朝日新聞「ひととき」欄掲載
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先日、いつもの俳句の会で席を並べている80代の友人が、突然欠席した。腰椎を骨折したそうだ。さっそく電話したら、ようやく退院したとのこと。胸から腰までカメのようにコルセットをはめられて動くのも大儀らしい。一人暮らしで食事作りが悩みの種だという。 私はさっそく近くのスーパーへ行って、レトルトのご飯やおかゆ、ふりかけ、みそ汁、煮物、スープ、シチューなどをあれこれ選んだ。どれも電子レンジでチンしたり、ちょっと火にかけたりすればすぐに食べられる。段ボール箱に詰め合わせ、お見舞いの手紙を添え、宅配便で送った。 もう12年前になるが、私も10か月入院した。骨折や病気はひとごとではない、だから、入院中や退院後に何が役に立つか、身をもって分かる。決まりきった果物かごやお花などより、すぐに役立つお見舞いが届けば、きっとうれしいに違いない。実は、この非常食宅配便、ほかの友人たちにも退院祝いとしてよく贈っている。意外と好評で、みんな喜んでくれる。 翌日、友人からすぐにお礼の電話がきた。「今日から助かります」と。喜ばれると、私もやはりうれしくなった。