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エレベーターが、11日間止まった!
2026年03月05日 [ No.141 ]
◎ 私の住むマンションは、筑33年目。大規模修繕はすでに2回済ませている。そして今回、エレベーターのリニューアル工事が、実施された。昼間の数時間エレベーター止まるといった工事は時々行われたが、今回は全面的な改修工事である。 エレベーターメーカーは、設置後20年から25年をリニューアル推奨期間としているうえ、2027年12月をもってエレベーターの運行上重要な部品の供給が停止されるとのことだ。それらを踏まえ、マンションの理事会で審議の結果、引き続きエレベーターを安全かつ快適に利用することを目的に、今回、改修工事を実施することが、決まったのである。 工事予算は、1562万円。本体工事にかかわる費用については、修繕積立金会計より支出されるが、一部ローンも組まれた。 工事開始は、正月明けの1月19日から29日の11日間だった。とうとう恐れていたその時期が来たのである。工事中は、当然のことながら、エレベーターは全く使えず、マンションの上り下りは外階段を使うしかなかった。外出はもちろん、新聞や郵便物の受け取り、ごみ捨てなども、いちいち外階段を使用するしかない。我が家は6階だったから、それは簡単なことではなかった。 まず、このマンションから、その期間、一時的に非難することを考えた。旅行でもいいし、近くのホテルや旅館に泊まろうかとも思った。いずれも費用がかさむし、食事の問題もある。 でもこのマンションの自分の部屋にいれば、お金はかからないし、食事は買い置きすれば何とかなる。自分でも作れる。トイレやバスは、いつでも自由に使える。やはり、ここにいて、事前に万全の準備をして、どうしてもの時だけ外階段を利用するしかないという結論に達した。 ところで私は昨年9月、まさかの新型コロナウイルスにかかってしまった。その日から十日間は、外出禁止。家族にマンションのドア外まで、食料品を届けてもらって何とかしのいだ。でも10日過ぎても体調は回復せず、コロナ後遺症にかかってしまった。やっと年末になって体調は戻ってきたが、体力は落ちた。 そのうえ、今回は11日間の蟄居生活を強いられることになったのだ。弱った体力で、6階から外階段を使っての上り下りは、かなり大変だ。だが引きこもったままでは,いっそう足腰が弱ってしまう。食料品も,日用雑貨も不足する。それで私は、思い切って一日一回だけは、外階段を使って、外出することにした。手袋をして手すりにつかまり、休み休み上り下りすれば不可能ではない。必死の覚悟だった。 行く先は、主に徒歩5分の区立図書館。新聞も止めたので、まず新聞コーナーで新聞をていねいに読み、週刊誌をぱらぱらめくった。カフェで紅茶を飲み、時にはランチもした。往復2000歩になる。 慣れてきたら、近くのコンビニやセブンイレブンなどのスーパーはもちろん、図書館とは逆の徒歩5分の駅周りのショッピングセンターにも出かけた。ただ荷物になるので、買い物は少ししかできない。大荷物を持っていると、階段を上れないからだ。お茶やジュースのペットボトル、トイレットペーパーなどかさばるものは、コロナの時同様、家族に頼んだ。そうして、不自由な11日間を何とか乗り切ったのだ。 11目の夕方5時。エレベーターは、予定通り開通した。ワクワクして乗ってみると、内部はぴかぴかで、モニターが付いていてニュースや音楽が流れる。階数やSOS ボタンは大きくて見やすい。リニューアルとはこういうことなのかと、実感できた。 それからは何の苦も無く、階下まで新聞や郵便物を取りに行っているし、ショッピンングカートを引いて、一度に大量の買物もしている。当たり前のように考えていたそれらのことが、思えば途方もなく恵まれたことなのだと知った。今、この工事を済ませたから、エレベーターは今後三十年以上使えるだろう。その間、首都直下型地震などが来ないことを、祈るばかりだ。 ただあらためて地震や津波、大雪などの被災地のことを思えば、私の短期間の不便などは、比べ物にならない。皆、想像以上の相当な不自由さを味わっているだろう。エレベーター工事くらいで、文句を言うのは、私のわがままにすぎなかったのかもしれない。

