マスク着用は、個人判断になったけれど
2023年5月05日 [ No.123 ]
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この四月十三日から、新型コロナウイルス対策としてのマスク着用が、屋内外を問わず「個人の判断」に委ねられるようになった。新型コロナの流行が本格化し、政府がマスクを着けるように呼び掛けてから三年。基礎疾患がある、高齢者など、マスクを外しにくい人もいるだろうが、そうでなくてもまだほとんどの人がマスクを着けている。 だが近所のスーパーやデパート、スポーツジム、図書館などの施設側は、ソーシャルディスタンスや会話禁止などの規制を緩和し、行列がはじまり、一席置きの椅子の配置や、ロッカールームの消毒なども元に戻しつつある。全国的にも、各種の催し、イベントなどが再開されている。 思えば、三年前、コロナが急速に拡大し、緊急事態宣言が出されたころは、ほとんど全員が自粛し、街はひっそりしていた。マスクは瞬く間に不足し、ドラッグストアにはマスクを求める人がそこだけ列をなした。マスクは高騰化し、一枚千円、二千円もするものまで出てきた、あのアベノマスクが配布されたのもその頃だったように思う。私も買い置きがすぐ底をついて、貴重な手持マスクを洗ってはアルコールをスプレーして再使用したりしていた。 マスクについていえば、今やドラッグストアの店頭には、各種のマスクが山積されている。呼吸しやすいという形状のマスク、ファッション性の高いカラーマスク、医療効果が高いという高級品まで、選び放題である。慎重派の私でさえ、おしゃれなカラーマスクを洋服に合わせて着け始めた。 ワクチン接種も、予約なしでも容易になって来た。当初は大騒ぎだった。区から申込日のお知らせが郵送されてきて、当日は9時の予約時間前からパソコン前にスタンバイし、手にはスマホを持って待機した。時間になってパソコンにアクセスしても、「ただ今混み合っていますから、しばらく待って、もう一度お試しください」と表示されるのみ。合い間にスマホをかけてみると、同じこと。「またお掛け直しください」の繰り返し。パソコンで、日程と時間と場所をやっと予約できたのは夕方だった。 あまりの騒ぎに区側も考え直したらしく、3回目からは、一方的に日程と時間、接種場所を指定してきた。そのほうがはるかに楽だった。11月には5回目の接種を済ませた。 PCR検査や抗原検査も、楽になってきた。当初はこれも大変だった。ジュースの味が苦く感じられ、コロナによる味覚障害かとかかりつけ医に電話で相談。区の担当部署経由で保健所から連絡があり、指定の病院の検査所へ行った。バスや電車はダメ、徒歩かタクシーを使ってとの指示。物々しい準備の検査所で、慎重に綿棒を鼻の奥に差し込む検査が行われ、結果は半日も立たないうちに、「陰性」とのショートメールがきた。 2回目は去年の9月。地方出張で、抗原検査を受けてきてほしいとの要請。予約もせず近所の無料検査所で、簡単に鼻に綿棒を差し込む検査を受け、30分で陰性の証明書が出た。 3回目は、今年の3月。ストレスが原因という舌通症という病気になったが、舌に違和感ばかりか、何を食べても苦い。コロナかもしれないとこれまたPCR 検査を受けてみた。阿佐ヶ谷駅前に無料の検査所があったので、予約なしに行ってみたら、スマホでその場で予約登録をして、舌下に綿棒を入れる検査を受けた。この結果も、翌日、スマホメールに陰性証明が届いた。舌痛症も回復してきた。 そんなわけで、私たち自身も新型コロナに慣れ、その対処法にも慣れてはきた。政府は5月8日から新型コロナウイルスについて、感染症法上の類型を季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げることを決定したという。各企業や学校でも「脱マスク」の動きが進む中で、私達はどう対処していったらいいのか。 ただマスク着用の効果は確かにあって、コロナだけでなく、私は今までに冬になると一、二度はひいていた風邪をこのところ一度もひかずにすんでいる。今までマスクは嫌いだったが、コロナのおかげで慣れてもきた。私は、高齢者に属するし、まだまだマスクなしで外出する勇気はない。確かにコロナの感染者数は減りつつあるが、東京においては一日の感染者数は千人を前後しているし、まだ収束したと手放しで喜べる状況ではない。 俳句では「マスク」は冬の季語だが、今は通年使っている。「マスク」が冬の季語に戻るのはいつになるだろうか。私は基本的には今まで通りマスク着用を続けようと思っている。さて、あなたはどうする?