区内路線バスで、半日PHOTO俳句
2021年06月05日 [ No.100 ]
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昨年に続いて、今年の連休も、新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言中だった。昨年は初めてのことでもあり、その間は一度も電車にもバスにも乗らなかった。 外出は、食料品や日用品の買い物だけ。運動不足になってはと、カメラ片手に、ひたすら近所を歩いていた。角川庭園をはじめとして、大田黒公園、荻外荘公園、与謝野公園など、区立公園を、繰り返し回った。コースを変え、脇道に入り、ずいぶんと近所には詳しくなった。 さあ、今年はどうしようかと思った。近所の公園は、季節の移り変わりに合わせて訪ねているから、歩き尽くした感がある。そこで、区内の路線バスを利用することを思いついた。自分の足で歩くのには限度があるが、目的地までバスを利用すれば、かなり行動範囲が広がる。 特に昼間の路線バスは空いていて、密になる心配はない。駅前で区内の路線図を研究したら、乗り換えなしでいくつかの公園や寺社まで簡単に行けることがわかった。片道二二〇円、往復でも四四〇円なら、払えない金額ではない。朝早めに出発して、目的地をゆっくり回る。感染防止のため、飲食は控える。人が増えてくる時間には、帰りのバスに乗っている。ランチは家に戻ってから。今年の連休は、これに決めた。 ■杉並区立郷土博物館(JR阿佐ヶ谷駅から永福町行バスで和田堀公園下車、約一五分)写真① 都立和田堀公園の中にあり、杉並の歴史を知る展示室、井伏鱒二をはじめ杉並に暮らした作家たちを紹介している杉並文学館などがあり、古民家も移築されている。今回は端午の節供を楽しんだが、これからは七夕、十五夜、煤払い、獅子舞、節分、桃の節句などの年中行事が行われ、一年中郷土の文化に親しめる。 ■大宮八幡宮(郷土博物館から徒歩10分)写真② 応神天皇を主祭神とする神社。武蔵国三大宮の一つ「多摩の大宮」とも呼ばれ、東京のほぼ中央に位置するため「東京のへそ」という異名も持つ。子育て・安産に特に御利益があるとされ、遠方からも参拝客が訪れる。境内は一万五千坪もあり、聖なる緑豊かな都心の杜としても親しまれている。 ■観泉寺(JR荻窪駅から、上井草行バスで、農芸高校下車、約10分)写真➂ 杉並区今川にある曹洞宗の寺院。戦国時代の名門今川氏ゆかりの寺で、墓地には今川氏累代の墓も。山門の左手には立派な池泉鑑賞式庭園がある。今回は新緑が気持ちよく、朴や、栃の大木が花をつけていたが、枝垂桜、紅葉などの名所としても知られている。静かで、地元観光の穴場かも。 ■善福寺公園(JR荻窪駅から、南善福寺行バスで、善福寺公園下車、約15分)写真④ 善福寺公園には、上の池と下の池があり、湧水量も多く、武蔵野三大湧水池のひとつとして知られている。今年も上の池では、色とりどりの鯉のぼりが風を受けて青空に。下の池は睡蓮の池を中心に、自然のままの武蔵野の風景が広がっている。水辺の植物も楽しめる。 ■石神井公園(JR荻窪駅から石神井駅前行バスで、石神井公園下車、約30分)写真⑤ 石神井公園は、石神井池と三宝寺池の二つで構成されている。石神井池はもうボートが出ていて、明るく開放的な雰囲気。三宝寺池は沼沢植物群落や二つの神社があり、豊かな自然に包まれ、静かで落ち着いた雰囲気。花見や紅葉など、四季折々の景観が楽しめる。 ところで先日の朝日新聞の「元気にキレイに」というページで、「『撮る×詠む』の相乗効果」というタイトルで、写真俳句を取り上げていた。俳句の経験がなくても、ルールに縛られず感動を素直にあらわせばいい、写真は小型のデジカメやスマートフォンでも十分だという。 「写真俳句を始めると、題材を探そうと注意して日常風景を見るようになるので、世界がまるで変わる。どう表現したらいいかも考えるので、結果的に頭も体も活性化される」(熱海写真俳句撮詠物語代表・矢崎英夫氏)とか、「楽しみがあれば出かけやすくなる。歩きながら俳句を考えるなど二つのことを同時に行う『二重課題』は、脳が活発に働くので認知症の予防にとてもいい」(関西医科大学健康科学センター長・木村穣教授)と述べられている。 私がPHOTO俳句を始めたのは、地元近辺を散歩するだけでは手持無沙汰なので、俳句を詠む、写真を撮るという目的を持ってスタートしたわけだが、こう理論づけされるといっそう励まされる。