今だからこそ、終活スタート!〈書類編〉
2020年06月05日
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過日、朝日俳壇に、高山れおな選でこんな俳句が載っていた。〈マスクつけひねもすのたりのたりかな 釋蜩硯〉。どちらかというと川柳の世界だと思うが、言い得て妙だ。 今までは、句会、吟行、ジム、図書館、映画館、そして通院などと、毎日のように出歩いていた。だがいっきょに外出自粛となって、当初はとまどったが、そう何日ものたりのたりとしてはいられない。チャンス到来、それまでしようと思いながら、先延ばしにしていた「終活」に手をつけようと決心した。もしかして自分がコロナに感染するかもしれないし、健康寿命は尽きているのだから。 友人の「死んでしまえばみんなゴミ」という一言を思い出した。すべてゴミになるとしても、私としてはそのゴミは極力減らしておきたい。衣食住はまだどうにか片付く。一番難しいのは、書き溜めた小説、俳句、写真、手紙、雑誌、書籍、などの「書類」だ。 ■小説、俳句、写真は、パソコン収納 まず手をつけたのが、小説。私は定年後、書き溜めたものをまとめて、七年前、「繭の部屋」という短編小説集を自費出版した。寄贈した方々には、ゴミが一冊増えてご迷惑をかけただろうが、私としては書いた原稿や、同人誌を一挙に整理できてすっきりした。 小説はこれで良しと、ピリオドを打ったつもりだったが、だらだら書き続けたら、前回以上に作品が増えてしまった。幸い、受賞した作品は、書籍化されたりしているが、手つかずのものも多い。また自費出版という手もあるが、自己満足だけで大金をかけてゴミを増やすのもどうだろうか。とりあえずはパソコンにデータとしてまとめ、保存しておくことにした。USBメモリーにもバックアップした。これで、パソコンが壊れても心配ない。 次に俳句だ。これも定年後に始めた趣味だが、かれこれ十五年になる。一句はわずか十七音だが、毎月二十句前後作っているから、かなりの数になる。先輩たちは次々と素敵な句集を出版されている。私はPHOTO俳句をやっているから、下手な句も写真付きなら何とかなるかとも思うが、カラーの本など費用がかさんで到底無理だ。したがって、これもパソコンにデータとして保存ということにした。 最近、あっという間に膨大に量が増えたのが、写真だ。PHOTO俳句を始めて、これも下手なのにのめり込んだ。それまでは、コクヨのシンプルなアルバムに、記念写真中心に整理していて、それで済んだが、今は一回出かけると五十枚、百枚、二百枚くらいは撮ってしまう。アルバムには到底おさまりきれない。これもまたまたパソコンのお世話になって、年度別にデータとして整理している。デスクトップに保存しておくと、すぐ重くなってしまうので、半年ごとにHDDに移している。 パソコン収納の利点は、いざというときは、自分で一瞬に削除できること。住所録や、読書記録、確定申告書類なども入っている。他人には何の価値もないものを、残さないで済むということは、終活には大切なポイントであろう。 ■手紙は永久保存 自分で生み出しているゴミはこのくらいだが、いただいた手紙類は処分しにくい。年賀状をはじめ、封書、はがきは一年間は保存しておくが、その後、大事な分だけ残してあとは処分していた。最近は、藤田宜永さんはじめ、亡くなった人からいただいた貴重な手紙類が増えた。これらは、いつまでも大事にとっておきたいと思っている。 ■雑誌、書籍は、折々処分 雑誌は、新鮮さが命だ。ついしまったまま、増えてしまう。この際、発行日を確かめて、新しいものだけ取っておくようにした。書籍はほとんど図書館を利用して、増やさないようにしているが、どうしても欲しい本は購入するし、アマゾンに注文もする。今回、それでも増えた分は、他人にもらっていただいたりして、思い切って処分した。今後も、保存すべきか、否かをときどきチェックしていきたい。 その他の書類は、そのつどチェックするのはめんどうだから、年ごとに袋分け収納をしておいて、古いものから中を見ないで処分する。中を見ないということも、整理をスピードアップするうえで、重要なポイントだと思う。 そんなわけで、書類の終活はなんとかメドがたったが、衣類、食器、住宅関係などはまだ手付かず。これからぼちぼち作業を進めながら、考えていきたい。 (次号以降に続く)