荻窪マスク事情
2020年05月05日
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私はマスクが嫌いだ。でも今年のお正月、風邪をひいた。それから仕方なく保湿と他人に移さないようにするため、マスクをした。買い置きがなかったから、私の住んでいる荻窪駅前のドラッグストアで、60枚入りの不織布の箱入りマスクを購入、500~600円だったと思う。風邪が治ったらすぐ外し、マスクは大半が残った。 そのマスクの残りが、今回思いがけず役に立った。マスクが嫌いなどとは言っていられず、一枚ずつ大事に使っていたが、それも残りわずかとなってきた。そのころ、ドラッグストアに並べば買えると聞いて、朝9時から並び、10時の開店時には65枚入りが、657円で購入できた。1枚約10円、適正価格だ。これで大丈夫と思ったが、予想外に新型コロナウイルスは世界中に感染拡大し、日本でも緊急事態宣言が出された。収束の見通しが立たないまま、五月を迎えた。 マスクを洗濯する方法を、友人に教えてもらった。ネットに入れて洗濯機で洗い、天日干しし、乾いたらアルコールを裏表にスプレーしておき、つけるときはアロマオイルを一滴落とすといいと。即、実行して1枚を2~3回は使うようにした。効き目は落ちるかもしれないが、これでしばらくは間に合うだろう。 地方に住む甥夫婦が、東京は大変だろうと、まずマスクを10枚調達してくれた。まだ街を回れば何とか手に入るという。その後、続けてコロナ感染予防グッズとして、マスクと除菌ウエットティッシュ、除菌ウエットタオル、ハンドジェルなどの詰め合わせを送ってくれた。その地方でも品薄なのに、クルマで回って、買い揃えてくれたとのこと。こんな時こそ家族の助け合いが大切だと、大いに感激した。友人からも、ハンカチで手作りしたマスクが届いた。裁縫超苦手の私には、ありがたかった。さらに、うわさのアベノマスクも、4月23日に2枚届いた。小さめだが、ガーゼだから洗えるし、いざというときは役に立つだろう。 今、荻窪の街では、ドラッグストアからも、薬局からも、マスクが消えた。前は並べば買えたのだが、それは人が密集するからと中止になったのだ。荻窪に、マスクを求める人が右往左往しはじめた。 そうなってから、商店街には高額のマスクがちらほら出回るようになった。「マスクあります」のポスターを見て行ってみると、3枚1000円、10枚1000円、そして最近は50枚4000円のものまで見かけた。それでも売れていくのだろう。 また手作りマスクや、マスクカバーもブームになっている。ある店では、1枚99円の色とりどりのガーゼハンカチを売っていたが、これなど良心的だ。得意な人はどんどん手づくりするといい。このブームにも便乗して、「マスク作ります」のポスター。なんと、一枚1000円だという。あきれた。 地方では、行政によってさまざまだが、マスクについては色々な方策がとられていると聞く。例えば、福井県では一所帯に100枚分の購入券が郵送され、それを持参すれば、ドラッグストアでマスクが購入できるとか、鯖江市では後期高齢者一人につき50枚配布とか、河和田町では全世帯に1箱配布とか、福井では一歩進んだ方策がとられているようだ。 私の場合、しばらくは手持ちで間に合うと思うが、それも時間の問題だ。感染すればそれで終わりだが、運よく生き延びられたとして、マスクをはずせる日がいつ来るのだろうか。