私の「もっと頑張らない台所」
2020年02月05日
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料理研究家の村上祥子さんの『頑張らない台所』という本を読んだ。「60歳からはラクしておいしい」というサブタイトルもついている。村上さんは76歳、大家族から二人暮らし、そして現在一人暮らし。「日本の家庭料理教室」をスタートして50年、電子レンジ調理では第一人者でもある。 「はじめに」では、「年をとると、食事そのものがおっくうになります。買い物も、作るのも面倒になります。料理は現代社会の中で唯一の原始に戻る仕事。つまり、材料を調達し切って調理して食べることは人間の原点なのです」と書いている。 私は定年退職し、初めて三度三度の食事を一人分、自分で作るようになった。村上さんに比べれば、いや結婚以来、家族のために食事を作っている主婦の方々に比べれば、幼稚園生といえるが、それでもこの本にそって、私の「もっと頑張らない台所」の実際について、ふれてみたいと思う。 第1章 シンプルキッチンの作り方 ●見える、届くがいいキッチン。→村上さんは手の届くところに吊るす、空きビンに立てる、キッチンワゴンを使う、扉を亡くしてオープンにといっているが、私の場合、前の二つだけで事足りている(写真)。 ●食器はいちばんお気に入りを毎日使う。→実行中。 ●鍋二つ、フライパン二つで十分です。→私の場合は、鍋は片手鍋と土鍋、深めフライパン、玉子焼きパンの四つ。土鍋は、一人鍋ほか、湯豆腐にして野菜をたっぷり入れ、頻繁に登場。 ●高齢者にこそおすすめの電子レンジ、圧力鍋、フードプロセッサー。→料理初心者の私は、まだ電子レンジだけ。 ●使える! 100円ショップの白いタオル→私はコンビニでタオル雑巾を買っていたが、これは名案! 第2章 簡単・おいしい料理のコツ ●朝食はワンパターンで切り抜ける→実行中。私は、パン、バター、ミルクティー、おかず(モッツレラチーズ、プルーン、クルミ)、季節のフルーツ(写真)。昼食は麺類が多い。 蕗の薹パスタ(写真)など、旬のものも取り入れて。 ●マグカップで一人分クッキング→私がマグカップで作るのはまだ残り物のあたためくらい。味噌汁は、塗り椀に、味噌、白だし、具を入れて、熱湯をかけ混ぜるだけ。良い味噌を使えば、即席よりずっとおいしい。 ●ふせんで忘れ物防止→私は、同型の瓶にラベルを貼って、冷蔵庫の中の食品整理。冷蔵庫の扉には厚手のメモ用紙をマグネットでとめ、不足してきた調味料や、食料品をそのつど書き留め、買い物に持参。 第3章 食べることから始まる体力作り ●惣菜の塩分、糖分、油はカットできる→私はもちろん全部手作りはしない。できない。時にはおいしそうな総菜を買うが、その都度売り場を観察。サラダ売り場も観察。思いがけない食材の組み合わせのヒントになる。 ●お弁当は重さ=カロリーと考えよう→私は、お弁当そのものはあまり買わないが、お寿司は良く買う。いずれの場合でも、サラダや味噌汁など、副菜には気を配る(写真)。 第4章 おいしく食べて楽しく生きる ●おいしいがいちばん! ごちそう一人鍋→実行中。 ●ときには人のためにご飯を作る→妹や甥、姪家族が来るので、そのための食器は食器棚上段にまとめて。 ●おひとりさまでも行儀よく食べる→これは重要なことだ。友人の一人暮らしの男性は、一日2食、きちんとテーブルセッティングして、写真を撮り、毎日、フェイスブックに載せている。栄養バランスが考えられ、品数も多く、季節感もあり、感心するばかり。たまにFBにアップすることを意識するのは、いいことかもしれない。 ●料理がおっくうになったら 特効薬は外に出ること→そのとおり、一人でも、友人とでも、自分では作れないフレンチなど、おいしいものを食べると気分一新できる。 「終わりに」で、村上さんは、「食べることは生きること」といって、「人生100年時代、みんなの悲願はボケたくない! 料理こそ最高の脳トレ。毎日キッチンに立っている限り、脳は安泰です」と。その思いから生まれた『頑張らない台所』。この本には、ここではふれられなかった料理のプロの知恵も満載だ。興味を持たれた方は、ぜひ一読を。 男性も女性も、心ならずも一人暮らしになる人が、これから増えていくだろう。そんな人に、私の「もっと頑張らない台所」も、なんらかのヒントになれば幸いだ。