『ピンピンコロリの新常識』を読んで
2019年06月05日
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今年の十連休は、なぜか同い年の方の葬儀や、先輩の病気見舞いなどが続いて、心重い日々を過ごした。だからというわけではないが、改めてこの本を読み返してみた。 この本は、昨年、主婦の友社の中村芳生さんが担当した一冊。著者は、首都大学東京名誉教授の星旦二氏。サブタイトルは、「病院・クスリに頼らない健康長寿の秘訣」とある。お寺や神社などで、こういうご利益があるとうたうところもあるが、そこへお詣するより、この本を読むほうが具体的で、ずっと役に立つと私は思う。 「はじめに」で、著者はこう述べる。「『ピンピンコロリ』とは、ピンピンと元気に生きてコロリと死ぬ、つまり自分の長い人生を最期まで、いきいきと幸せに楽しむことです。この本のキーポイントは三つ。一つ目は実用的であること、二つ目は『やってみよう』と思える手軽さ、三つめは健康な住まいづくりの提案です。この本を手に取られた皆さんも、できることから始めて、あなたの健康で幸せな毎日のためにお役立てください」という。そして、PART 1から、4まで、実践論が続く。 ただPART1の、「間違った健康常識」の①だけは、私は異論を唱えたい。①には、病院と健診にこまめに通う人が長生きできる→「健康はまず自分で守る」という自立心が必要とある。だが私自身、無自覚のがんが健診で発見され、手術と治療で、今元気で暮らしていることを思うと、病院や健診嫌いで通すのは考え物だと思わざるを得ない。 著名人でも、五木寛之氏や曽野綾子氏はじめ健診嫌いは少なくない。著者もその一人という。しかし健康は自分で守るという心構えは大切だが、時と場合で、臨機応変に考えたほうが賢明ではないか。 それ以降のPARTは、まったく異論はない。PART2の「すぐに始められる! ピンピンコロリアクション」には、30項目が列記されている。ここがこの本のハイライト。たとえば、新しい洋服を買いに出かける、美容院へ行く、旅行に行く、美味しいものを食べる、大いに笑う、しっかり眠る、料理をする、生涯現役で仕事を続ける、適度なストレスを暮らしに生かすなどなど。私もほぼ実行していることがらだが、年をとったからと自分をあまやかして、ただのんびり、ぼおっーと暮らすことを、戒めているように思える。 PART3の、「ピンピンコロリを実現する住宅づくり」には、同様に11項目が書かれているが、「住宅」と「健康」の深い関係に気づこう、快適な寝具を探し、照明はオレンジ系の暖色にする、緑の植物を生活のなかに取り入れる、バリアフリーは急がないなどなど。私も実行中のことがらで、もっともだとうなずける。 PART4の、「自分の生き方そのものが、健康な毎日をつくる」には、7項目が挙げられていて、健康も幸せも自分自身が決めるもの、今の自分を認めてほめてあげよう、人間は一生が勉強の連続、失敗しても落ち込まないなど、示唆に富むことがらが続いていた。 「おわりに」で、著者は、「この本にまとめてある内容は私が、日頃から心がけていることでもあります。そしてこの本を執筆することで、『心と体を温め、死ぬまで前向きに元気に過ごしたいものだ』との認識を新たにしました。さまざまなピンピンコロリアクションを実践しながら、少なくとも95歳まで人生を楽しむつもりです」と、力強く結んでいる。 この連休ばかりでなく、最近、病気の話や訃報が増えてくるなかで、私自身は90代など夢のまた夢だが、「死ぬまで前向きに元気で」は、大切にしたい一文である。