「小石川後楽園」のパスポートを買う
2017年03月05日
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「小石川後楽園」をご存知のかたはどのくらいいるだろうか? JRの飯田橋と水道橋駅の中間にある、水戸黄門ゆかりの庭園。現役時代は、会社から近かったのに、行ったのは一度か二度くらい。様式は池を中心にした回遊式築山泉水庭園。光圀が、中国の風物を取り入れた、中国趣味豊かな庭園ときいていたので、あまり興味も湧かなかった。 だが定年になって、御茶ノ水の、健保や歯医者などへ月一、二回通うようになって、そのまま家へ帰るのもつまらないと、沿線、延線の公園、庭園へ寄り道するようになった。 その代表格が、この「小石川後楽園」。春には梅林、枝垂れ桜、夏には睡蓮、花菖蒲、秋には彼岸花、萩、冬には紅葉、雪吊りなど、四季折々、花々が自然のままにおおらかに咲くありさまには、すっかり心を奪われた。ここにあげた花以外にも、今まで知らなかった珍しい和花が豊富で、訪れるたびにそれが変化する。カワセミなどの珍しい鳥もいる。句材になるし、もちろんいい写真も撮れる。加えて庭園を望める涵徳亭という食事処では、一〇〇〇円以下でお弁当や定食もいただける。 入園料は、シニアは1回150円だ。これだけ楽しめて安いと思っていたが、年間パスポートを買えば、600円と聞いて、迷いもなく買ってしまった。年間4回以上は必ず通うから。 これからは花暦を確認し、花時を逃さないようにしよう。 都立庭園は、他にも九つあるが、六義園、旧岩崎邸庭園、旧古河庭園、殿ヶ谷戸庭園には、吟行などで何度か立ち寄った。 浜離宮恩賜庭園や、向島百花園、清澄庭園などへは、残念ながらまだ行ったことがない。 都立庭園ではないが、日比谷公園、北の丸公園、小石川植物園、井の頭公園、神代植物公園などは、春に秋に、季節はずれにもよく行く公園だ。公園内のレストランやカフェは必ずチェックして、楽しんでいるのは言うまでもない。 もちろん、荻窪の自宅から歩いて行ける角川庭園、太田黒公園、読書の森公園へは、毎週のように通い詰めている。家の庭のように思っている。無料だし、係の方々とも親しくなれた。 公園、庭園の人は、花や木の名前や、花時などを伺うと、どこの方でも、親切に教えてくださる。植物の知識は、少しずつだが増えて行った。バラとチューリップと桜ぐらいしか知らなかった私が、自分でも驚くほどの成長ぶり。元園芸雑誌の編集長の親身のアドバイスも大きかったけれど。 最近は、私なりの花暦を作るようになって、そろそろあの公園、庭園のあの花が咲く頃だと、見当がつくようになってきた。でも開花は年によって違うから、はずれも少なくないが。 おかげで、このホームページの巻頭のPHOTO俳句に、多少珍しい植物を続けて掲載できるようになったし、フェースブックにもバラエティがついた。 さらにこの公園、庭園散策は、健康維持にも役立っている。でかけるのは、だいたい午前中。きれいな空気の中、花や緑を探して歩いていると、とても気持ちがいい。思わず、5千歩、8千歩と足が進む。「病気の9割は歩くだけで治る!」、「認知症は歩くだけで治る」(以上、長尾和宏著、山と渓谷社刊)という本もあるくらいだ。写真と俳句という目的をもって、毎日のように歩くことは体にも頭にもいいらしい。 現役時代の休日は、マンション探しとデパートショッピングに明け暮れていた。毎日が日曜日となって、最初は、近所の買い物だけ。だが公園、庭園散策が習慣になってからは、気分爽快、足腰も丈夫になり、パスポートまで買うようになったのだ。変われば変わるものと、自分でも驚いている。