◎ わが家は狭いマンションバルコニ|も狭く満足に植物も育てられないだからここ二三年徒歩十五分の角川庭園を自分の家の庭がわりに毎週のように通っている 四季折々私好みの花が咲き樹木が茂っている鳥も来る庭の木株のベンチに腰掛けて電線が邪魔しない空を見上げたり葉を揺らす風の音を聞いていると東京とは思えない写真を撮ったり時には下手な俳句を詠んだり本を読んだり今の私にはかけがえのないお庭になった 角川庭園は俳人で角川書店の創設者である角川源義氏の旧邸宅を杉並区が遺族から寄贈を受けて改修したもの二〇〇九年に区立公園として開園された私が荻窪のマンションに引っ越してきたのが一九九四年定年退職したのが二〇〇四年だからそのあとということになる 建物は一九五五年竣工の木造二階建て瓦葺近代数寄屋造で源義氏の意を受けて建築家の加倉井昭夫氏が設計した« NEXT/4PREV »