日曜日の朝は、目覚ましをかけない
2016年07月05日
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定年になったら、「毎日が日曜日」というキャッチフレーズが定着しているが、私も退職直後はそういう心境で「さて、どうしようか」と、戸惑ったものだ。 でも十年以上たつと、月曜日から土曜日までは、それなり隙間なくスケジュールが詰まって、現役時代より忙しいくらいだ。前は、朝出かけるのは会社と決まっていたし、する仕事も雑誌記者の範疇だった。それが現在は、外出先も句会、吟行、図書館、カメラ持参のお花観、スポーツジム、病院、加えてOB会、同期会などの打ち合わせなど、変化に富む。これをサクサクこなしていくには、けっこう気力、体力が必要だ。 平日は、七時には起きて、簡単な朝食準備。それを七時半からのBSの朝ドラを見ながらいただく。「とと姉ちゃん」が出版社に入社したので、さらに興味深々。そして手早く家事をすませ、その日の目的地へと向かう。行く先は変わるが、遅くても十時には家を出ている。このHPをはじめ、色々締切りが迫っているときは、朝食後からパソコンの前に座る日もある。 だが、日曜日は違う。違えないと、それこそ「毎日が月曜日」になってしまう。だから意識的に予定は入れず、パソコンもチェックだけにしている(なかなかそうもいかないが)。 まず、目覚まし時計はかけない。でも昔のように昼までは眠れず、八時過ぎには目が覚めてしまう。朝ドラはお休みだが、日曜日の朝は見たいテレビ番組が、テレビ体操に始まって、俳句、趣味の園芸、日曜美術館と、続々だ。 現役時代は振り向きもしなかった番組ばかり。十時にテレビを消すまで、紅茶を飲みながらのんびり鑑賞する。全部録画しているが、早朝の番組以外、ほとんどリアルタイムだ。 「テレビ体操」は、わずか十分の番組だが、全身の筋肉を伸ばし、血行促進をはかれる。録画を見ながら、時間のある時や、プールへ行く前の準備体操として、体を動かしている。 「NHK俳句」も楽しみな番組だ。司会はエッセイストの岸本葉子で、今期の選者の俳人は、正木ゆう子、堀本裕樹、夏井いつき、最終週の初心者向きの「俳句さく咲く」は小泉健。 これにゲストが加わって、兼題に合わせて全国から公募された俳句を評価する。私は「童子」という俳句結社に属している。この番組に応募する気はないので、気楽に見ている。 「趣味の園芸」は、俳句を詠むようになり、自分に植物の知識が全くないのに気付いて、見始めた番組。私も、近所の花の追っかけを始めて二年以上たつので、多少は名前が分かるようにはなってきた。でもその季節の植物の育て方、楽しみ方を専門家がレクチャ―してくれるので、「お花観」の予習、復習にもなる。ナビゲーターの俳優、三上真史はさわやかな青年で、日曜日の朝にぴったり。彼に会えるのも魅力だ。 もう一つが「日曜美術館」。キャスターは、渋い俳優の井浦新。毎回ゲストを迎え、国内外の様々な美術を紹介する。番組最後の十五分間では「アートシーン」と題し、美術界の動向や展覧会の情報などを紹介する。絵は好きで、月に一度くらいは美術館へ出向くが、そう度々は無理。この番組で楽しんでいる。 以上、Eテレの番宣もどきだが、自然とそうなってしまった。現役時代は、トレンディ―ドラマ一辺倒だったが、暮らしが変われば見る番組も違ってくる。午後は読書に集中。ちょっと手をかけた夕食を食べて、というのが理想だが、午後はやっぱり買い物や散歩に出かけたり、読書中に居眠りしたり。それでもいつもとは違う一日を過ごし、月曜日のための目覚ましをセットして、私の日曜日は終わるのだ。