文房具は、お気に入りを揃えて、楽しんで
●4Pの写真と合わせてごらんください 2016年06月05日
◎
買い物は、恋に似ている。それが欲しくて、何日も何カ月も思い悩んで、やっと手に入れたときの喜び。現役時代は、洋服やバッグ、アクセサリー、はてはマンションまで、そのようにして自分のものにした。でも退職してからはそんな財源はない。恋するものは、身近で安いものに変わった。 キッチン雑貨は4月号でご紹介したが、今回は文房具。定年までは、事務用品はすべて会社支給だったから、自宅にはありあわせのものしか置いていなかった。だから退職後は、パソコンから、鉛筆一本まで、自前の物をそろえなければならない。まず「アスクル」に加入して、書類箱はじめ、大判封筒、コピー用紙など、すべて会社とほぼ同じものを注文。永年、使い慣れたものが、やっぱり手になじむ。そうして、いちおうデスク周りの物を整えた。 そこへまた二十代の姪の登場だ。姪は、一時、「伊東屋」へ就職希望だったくらいで、おしゃれな文房具をよく知っている。ときどき、アニマルデザインのゼムクリップなどをプレゼントしてくれる。また海外出張の多い三十代の甥夫婦は、そのたびに、これまたかわいい鉛筆をお土産に買ってきてくれる。会社一辺倒だった私のデスク周りは、徐々に変わって来た。 自分でも、「伊東屋」や「丸善」、「鳩居堂」などへ、積極的に足を運ぶようになったら、手ごろな価格の、スマートで便利な文房具類が目に付くようになった。キッチン雑貨と同じく、実用一点張りは卒業して、少しずつでもセンスのいい文房具に買い替えようと思った。自称「ものかき」の私には、いつもそばに置くものだし、それがお気に入りのもので揃えられれば、言うことはない。書く時間が、だんだん楽しくなって来た。 ■切るもの 最近買った文房具は、ヘンケルスのロゴをモチーフにしたデザインのはさみ。切れ味はもちろんだが、そばにあるだけで、ときめいてくる。目下の一番の恋人だ。 ■書くもの 原稿は当然パソコンだが、俳句は鉛筆、手紙やハガキは永年愛用のボールペン。製図用のドローイングペン2mmも書きやすい。鉛筆は、お土産の品が使い切れないほどあるが、決め手は消しゴム。ゴムが劣化しないうちに買い替えられる最小サイズのものを使っている。 ■止めるもの 原稿でも、短いものはホチキス止めするが、長いものは紙のこよりで綴じる。一穴パンチで穴を開け、こよりを2回通して結び、こよりの先をねじる。新人時代、会社でたたきこまれた綴じ方だ。このこよりが、町の文具店でまだ売っていることには驚いた。80本入りだったから一生分はある。ホチキスは、新品でも普通のものなら高くはない。セロハンテープは、台付きの物が自宅でも使いやすい。ゼムクリップは、アニマルデザインや、カラーのものにした。 ■便せん・封筒 連絡は基本的にはメールですませているが、年上の方、お見舞い、そして最近よくいただく句集のお礼などは、手紙にしている。もう手書きは辛いので、せめて便箋は、鳩居堂でOA用の和紙を買って、それにプリントアウトしている。もちろん、封筒も和紙だ。 ■メモ帳 手元の紙に書きつけて、失くしがちだったメモ。小さくて薄いメモ帳を見つけて以来、バッグごとに入れて愛用。カバーをかけ、句帳代わりにもしている。 ■ポストイット 細長いものは付箋用だが、四角いものは、これからすべき項目を書いて、目に付くデスクの上と、電話のそばに貼っている。物忘れ防止には、必須のグッズだ。ただ、みっともないから、それ以上数を増やさないようにしている。