笹本恒子の『100歳の幸福論』を読んで
2016年05月05日
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笹本さんは、100歳の写真家。今も社会とのつながりがあって、忙しい日々を過ごし、本まで書いた。これはすごいことだ。100歳の記念写真が、この本の表紙になっている。まず4ページのその写真を見ていただきたい。 「人生に『もう遅い』はありません。何回だってやり直せます」と笹本さん。2014年9月1日に100歳を迎え、ますます多忙なフォトジャーナリストとして活躍中だ。「毎日を楽しくバラ色に過ごして、枯れ木でなく、美しいドライフラワーになるヒントにと、この本を書きました」と言う。 笹本さんは、1914年(大正3年)9月1日、東京都生まれ。日本初の女性報道写真家として、三井三池闘争や安保反対闘争など社会派の写真を手掛ける一方、幅広い分野の時代の顔を、自ら口説き、撮りつづけ、国内外で数多くの写真展を開催。2010年、96歳で開催した、激動の昭和史や明治生まれの女性たちをカメラに収めた写真展「恒子の昭和」が話題を呼び、2011年、第45回吉川英治文化賞、日本写真協会賞功労賞を受賞。今なお取材や講演の依頼がたえないそうだ。 この本には、“ひとりで楽しく暮らす5つの秘訣”というサブタイトルがついている。100歳になっても、赤ワインとチョコレートと、素敵な人に会うことが好きな「好奇心ガール」にはどうしたらなれるのか? 私もひとり暮らしだから、その秘訣を一つ一つなぞってみた。 1 温かい家で暮らす、死ぬまで「自分のお城がいいわ」。 老人ホームも考えたけれど、94歳でリフォームしたマンションの10階で快適に暮らす笹本さん。これには全面的に賛同。私も、インテリアや整理収納は趣味だし、健康を害さない限りは一人でこのマンションに住み続けたいと思う。 2 ちゃんと食べる、ちゃんと歩く、それが若さの秘訣。 食は文化じゃないかしら、三食を自分で作り、好きなものを食べているという笹本さん。これも同感。私も、定年以来、できる限り手作りを実践中。「歩く」も、カメラを持つようになったら、足がひとりでに動きだす。ジム通いも実行中。 3 身だしなみに手を抜かない、「見た目」も大切! 手作り服で、アクセサリーを付け、マニキュアも香水も欠かさないという笹本さんには、趣味はちょっと違うけれど、完敗。外出時以外は、メークも着るものも手抜きしているから、ちょっと反省。姪にもらったシャネルの口紅でもせっせと塗ろう。 4 年齢を悟られずに生きる、大事なのは、「ココロモチ」。 96歳まで自分の年齢を言わなかったのは、ずっと現役でいるための自分への約束事。絶えず緊張と努力が必要だったそう。宝物は、幅広い年齢層の友人がいることだと、笹本さん。私は30歳年下の71歳。どこまで近づけるかわからないが、笹本さん同様、「心の若さ」だけは失いたくないと思っている。 5 読む・書く・仕事&恋を、人生の転機は「好奇心」! これは大賛成。私は退職後から、少しずつモノを書きはじめ、原稿応募をし、ホームページやフェイスブックを始めたら、がぜん人生が充実してきた。本も1か月7、8冊は読む。最後の「恋をする」だけは、自分の作品の中で勝手に実践するのみ。スクリーンのイケメンも恋人にしているけれど。 私は58歳の時、思いがけず大病をしてもうすぐ死ぬかと思った。それから10年余、通院は欠かせないが、幸いしたいことができる健康は維持できている。でもこの時代、地震や、認知症などに、いつ襲われるかもしれないし、とても100歳まで生きられるとは思えない。ただこの本で、笹本さんが今でも健康で活躍していることを知って、たくさんの元気をもらったような気がする。