一日だけの震災ミニ訓練をしてみて
2014年09月01日
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先日、我が家のマンションが、一日断水した。築二十二年たったので、給水管が老朽化し、給水メーター廻りの給水管更新工事を実施するためだ。今まで、屋上の貯水槽清掃のため、年に二回は半日程度の断水があったが、丸一日にというのは初めてだ。 半日断水の時は、近所のスポーツジムへ通ったり、映画を観に行ったり、電車に乗ってデパートショッピングなどして時間をつぶしたが、朝九時から夕方五時までと聞いては、そんなに長く外出するのも疲れる。 そこで、今回は、いつか来るかも知れない震災のミニ訓練を、自分でしてみようと思い立った。日程は決まっていたし、電気やガスはふだんどおり使えるのだから、たいした訓練にはならないだろうが、水道だけでも試してみようと考えた。 まず、前日、二リットルのペットボトル数本に、水道水を貯え、洗面所、キッチン、トイレに置いた。飲み水は、ふだんからミネラルウオーターを一ダース買い置きしてあるから心配はない。 その日の朝は七時に起床し、ペットボトルの水で、洗面、歯磨き、化粧を済ませた。ボトルの水は半分に減った。キッチンでは、電気ポットにミネラルウオーターを注ぎ、紅茶を淹れ、ボトルの水で、野菜やフルーツを洗い、朝食をとった。食後は、キッチンペーパーでまず食器の汚れを拭き取ってから、ボトルの水でさっと洗う。ボトルの水は半分ほど減った。本当はまだ水が出ていたので、トイレだけはタンクの水でいつも通り流した。 いよいよ九時が来たので、家の中で、パソコンに向かったり、読書をしたり。喉が渇いたので、今度はミネラルウオーターで緑茶を淹れた。 昼食は、同様にしてサンドイッチとサラダを作り、片付けも済ませた。ボトルの水は、一本目は使い切った。洗面所では、ボトルの水で食後の歯磨き。こちらも一本目の水は、ほとんどなくなった。 そこで、初めて自宅のトイレを使ってみた。ペットボトルを一本使い切ったが、切れ切れのトイレットペーパーが浮いている。もう一本使って、勢いよく流したら、きれいになった。トイレは、水がたくさん必要だと、あらためて学習。今日一日だから何とかなるが、これが続くとあれば、クローゼットに備えてある非常用トイレを使っても、二、三日で足りなくなるかもしれない。 三時を過ぎた頃、玄関ドアを開けてみると、工事の人たちが、水道メーター廻りでまだ黙々と作業をしている。進み具合を訊いてみたら、「そろそろ終了です。開栓の時は声をかけます」と言われた。間もなくインターフォン越しに「終わりました」の声。ドアを開けると、「給水を始めます。濁り水や空気が出ることがあるので、洗面所から、この順番にしたがって開栓して行ってください」と、説明書を渡された。蛇口をひねると、洗面所からも、キッチンからも、きれいな水がごぼごぼと出て来た。感激! 洗濯機も使えた。すべて何の問題もなかった。めでたく終了だ。 九月一日は防災の日。一日だけの断水で、これだけあたふたするのだ。水ばかりでなく、電気も、ガスも止まったら、今の備えでは全くお手上げだ。震災に備えてのミニ訓練、被災地の人が聞いたら噴飯ものだろうが、自分としては大いに役立ったような気がする。飲み水はともかく、生活用水はもっともっと備蓄が必要だ。水ばかりでなく、食料も、何もかも、今の備えでは不十分だ。これから腰をすえて、災害に備えねばと、心を新たにした。