春号 TOPICS

【春のARTS】

 

東京都美術館の「印象派 モネからアメリカへ」展

印象派がヨーロッパやアメリカへもたらした影響をたどる展覧会。19世紀後半、パリで印象派に触れ、学んだ画家たちは、新しい絵画の表現手法を自国へ持ち帰る。本展は、その印象派の革新性と広がり、アメリカ各地で展開した印象派に注目。アメリカ・ボストン近郊のウスター美術館は、このたび、初来日となる同館の印象派コレクションを中心に、モネ、ルノワールなどフランスの印象派、ドイツや北欧の作家らの作品を一堂に会する。知られざるアメリカ印象派の魅力に触れられる貴重な機会と言える。4月7日まで。

国立新美術館の「マティス」展

アンリ・マティス(1869-1954)が後半生の大半を過ごしたニース市のマティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、版画、テキスタイルの作品を紹介するもの。切り紙絵の大作「花と果実」(写真右下)は、本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開された作品。加えて私のお目当ては、マティスが最晩年にその建設に取り組んだヴァンスのロザリオ礼拝堂(写真右上)。上野の「マティス展」では映像でしか見られなかったが、今回は建築から室内装飾まで、礼拝堂を体感できる空間が再現。5月27日まで。

【春のCAFÉ】

「青山フラワーマーケットGREENHOUSE」

表参道駅から徒歩4分、骨董通りを一本入った青山フラワーマーケットが運営する「花農家の温室」をコンセプトとしたカフェ。インテリアは、花が生まれ育つ“温室”をイメージしてコーディネート。メニューは、ここならではの花をメインにフレンチトーストや、スイーツ、こだわりのハーブティー、ブレンドティーなど、見た目にも楽しいランチやお茶が味わえる。青山の真ん中にありながら、都会の喧騒から離れてホッと一息つける空間だ。帰りには、季節の花々や希少な品種のバラなどのショッピングも。TEL:03-3400-0887



【春のSWEETS】

銀座「あけぼの」の「さくらもち」と「草もち」

和菓子は季節を先取りするから、この頃注目。銀座「あけぼの」は、銀座で生まれ育ったお菓子屋さん。季節ごとに売り出されるお菓子には目が離せません。包装紙もおしゃれで、桜餅には「塩漬けした小田原産の八重桜が、上品な甘さの餡を引き立てます」と。北海道産小豆から作られた漉し餡が、袱紗包みに。草餅にはきなこが添えられて。各270円。

【CINÉMA】


役所広司の「パーフェクトデイズ」

第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司が主演する人間ドラマ。監督はドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。東京・渋⾕でトイレ清掃員として働く平⼭(役所広司)は、淡々とした毎日を⽣きていた。同じ時間に起き、植物に水をやり、仕事が終わると銭湯や、食堂へ。古いカセットの音楽を聴き、古本の文庫を読むことと、フィルムカメラで木々を撮影するのが趣味。そんな男に、いくつかの小さな出来事が起きるが、平山の日々は変わるのか。端役のように、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和らが顔を出すのも見逃せない。久し振りに手応えある映画を観た。2023年12月22日公開。



【BOOKS】


『黄色い家』 川上未映子著 中央公論新社

十七歳の夏、親元を出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子に手を染める。中年の女性を中心に危ういバランスで成り立っていた共同生活は、あるきっかけで瓦解し……。著者が初めて挑む、コロナ下のエンドレスなクライム・サスペンス。『読売新聞』連載を書籍化。2023年2月25日刊 1900円



『ヒロイン』 桜木紫乃著 毎日新聞出版

著者が初めてテロ事件に取り組んだ意欲作。1995年3月。渋谷駅で毒ガス散布事件が発生。実行犯として指名手配されたのは宗教団体「光の心教団」の幹部男性と、何も知らずに同行させられた23歳の信者岡本啓美(おかもとひろみ)。この日から、無実の啓美の17年の逃亡劇が始まった。彼女が見つけた本当の“罪”とは。2023年9月20日刊 2000円

「七十二候を楽しむ野草図鑑」 大海淳著 青春出版社

日本には、「二十四節気」とともに、「七十二候」という自然の移り変わりを細やかに表現した暦がある。この「七十二候」と、有用植物とを噛み合わせた本。野遊び作家である著者が、旧暦の七十二候にちなんだ野草の楽しみ方を、文とカラーイラストで紹介。巻末には「七十二候の野草を楽しむ基礎知識」も掲載。2024年1月25日刊 1800円

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